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『古書街キネマの案内人
おもいで映画の謎、解き明かします』
著者の大泉貴先生は大学生時代に映画館でアルバイトをしていた経験があり、そのときの経験が作品にも活かされています。
映画に対する想いや、この作品に込めた思いを書いていただきました。
10年前、僕は映画館でバイトをしていた。
有楽町駅から歩いて五分、有楽町マリオンにある映画館、日劇PLEX。現在のTOHOシネマズ日劇である。
なんで人生最初のバイトをわざわざそれほど時給も高くない映画館にしようと思ったのかはよく覚えていない。
映画が好きだったからとか、
週替わりのシフト制だったので大学の講義と時間の調整がしやすかったとか、
あとは映画館だったら入れ替え以外はそんなに仕事もきつくないのでは? とか、そういう舐めた動機からだった気がする。
肌に合わなかったらすぐに辞めればいい。
そんな軽い気持ちで始めた映画館のバイトを結局、僕が小説家としてデビューする2010年までほぼ4年以上に渡って続けた。
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