このライトノベルがすごい!文庫 スペシャルブログ

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君の止まり木はたぶん俺で俺の止まり木は必ず君―第3話―  大間九郎

そんなこんなそんな

河童の甲羅は着脱可能だ。
仕事から帰ると河童は甲羅を陰干しにし全裸でパソコンを食い入るように見ていた。
「おう、帰ったか人間。まずこれを見ろ」
河童はホームページを指さす。
『このミステリーがすごい!』大賞
「これ狙おうや人間」
「なんで?」
「賞金1200万」
「いいねー」
「俺、内容考えたから」
「何々?」
「大火傷した河童が心臓外科医を目指す話。命狙われて、師匠の医師は厚生省キャリア官僚で、謎が次々解明されて、ラストはコンテストで、スポ根と医療、未知との融合」
「なんかスンゲー良いねー。題名は」
「さよならバチスタ」
「パクリだろうがいや!」
「パクッてない! オマージュ! オマージュ!」
「それよりこっち来いよ」
「何まだ帰ったばっかで」
「いいからほれほれ」
「明かり! 明かりは消して!」

―――「このミス大賞」断念




※本作はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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君の止まり木はたぶん俺で俺の止まり木は必ず君―第2話―  大間九郎

そんなこんな

河童の朝は早い。
トントントントン台所で包丁がまな板を叩く音が聞こえる。
「おう、おきたか人間。まず顔を洗え」
河童は水掻きのついた手でタオルを渡す。私は受け取り洗面台で顔を洗う。
食卓にはキュウリサンドとキュウリジュース、キュウリジュースは千切りキュウリをガラスのコップに入れて上から氷で重しをし、三ツ矢サイダーをそそいだモノだ。色鮮やかでなにげに旨い。
河童はキュウリを食う。
ひゅるりと一口で一本を食う。
噛んだりしない。喉越しを楽しむ感じ。
「河童。いつまでここにいるんだ」
「おまえの望みを叶えるまでだ」
「俺の望みは自分で叶える。お前の力はいらない」
河童はニヤリとこっちを見ていやらしく笑う。
「お前みたいな何も才能の無い三十男に何が出来る? いつまで自分の才能を信じる? ねーよ才能。お前にはなんにもねーよ。諦めろ、俺に頼れ、俺がお前を時代の寵(ちょう)児(じ)にしてやるよ」
「出て行け河童」
「つれねーな人間」
「俺の視界から消えろ河童!」
「ぐすん、昨日の夜はあんなに激しかったのに…………」
それを言うなや――――――




※本作はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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君の止まり木はたぶん俺で俺の止まり木は必ず君  大間九郎

本日から、
栗山千明賞受賞『ファンダ・メンダ・マウス』の著者・大間九郎の
連作短編「君の止まり木はたぶん俺で俺の止まり木は必ず君」
を、毎日掲載していきます。

掲載初日の本日、第2話からのスタートに疑問も感じる方も多いと思います。
実は本作の第1話は、以下のサイトで掲載されている受賞コメントなのです。

第1回『このライトノベルがすごい!』大賞/大賞作品詳細
http://konorano.jp/info/win/win03.php

第1回『このライトノベルがすごい!』大賞/受賞作特集
http://award2010.konorano.jp/kuriyama/

第2話から読んでいただいても問題ありませんが、
まず受賞コメントを読み、
その後、第2回へと読み進めていただけると、
より楽しめるのではないかと思います。

では、『ファンダ・メンダ・マウス』とは異なる
大間九郎の世界をご堪能ください。

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