小樽巡り地獄変~邂逅~
ロゴ改

小樽駅

ここは小樽の玄関、小樽駅である。
そして僕の名前はカッコ・カーリーである。
ちなみにこれはペンネームである。別に外人ではないのである。
僕は、あんまり売れてない新人ラノベ作家である。
どれくらい売れてないかというと「え? やってけんの今後?」と寝る前に不安を覚えるくらいである。
さらに言うとネットの評判もなんだか――いや、やめよう、そんな話は。 
僕は小樽駅の前でため息をつきながら顔を上げた。

今回、『ダカラ島社』さまから小説を出させてもらい、その小説に出てくるこの小樽の街をダカラ島社さまのブログで紹介して、「なんか売れ行きとかにちょっと貢献できたらいいですよね、っていうかこのままだと僕消えますよね? 俺もブログでなんかさせてくださいよ!! 消えたくない!! 二巻三巻と出したい!」「まあ売れてないからね(笑)」という担当編集のザ・竹氏との話し合いのもと、この街を特設ホームページのブログ内で紹介することになった。
舞台となる場所をリアルに体感してもらおう、だから二巻も買って……という作戦であった。
そう、これはささやかな販促である。
ささやか過ぎて効果のほどは未知数である。

少し、僕の小説の紹介をしておこう。
僕の小説『建設兄弟!』は、義兄弟の契りを結んだガチムチな作業員二人が世界を股にかけ、建物を建設しまくるという、肉弾小説である。
兄の『キッズ・ナー』は指先一つでビルを破壊するほどのパウワーを持つ化け物で、弟の『ジェリコ』は日に一度ビルの爆破解体をしないと気が済まないという恐ろしい青髭の男である。
そしてイラストレーターのYABA氏の書くマッチョな男たちは素晴らしくマッチョであり、僕は気持ちよく仕事ができた。

そんなマッチョキャラだらけの小説でどこに萌えたらいいのかって?
それは僕にもわからない……。
そもそも建設兄弟なのに、気付くといつも建造物を破壊してる……。
なんだこの矛盾は……。破綻してるぞ……。
いや、そんなことはどうでもいい。
本作では、二人が超・高層ビルを建てた現場が小樽市内なので、小樽を紹介すべく、僕はこの小樽という街にやってきた。

だが、この小樽という街を僕はよく知らない。
僕は駅前でしばらく佇んでいたが、見ると入口になぜか鐘が設置してあった。
僕は駅の入り口の鐘を鳴らしてみた。

鐘

もの凄くうるさかった……。
これは鳴らさない方がいい……。
次から気をつけよう……。
周囲の目が痛い……。
とにかく観光名所へ行こう……
だが道がわからない。
僕は駅の地図で、目的地を探した。
あらかじめ決めていた目的地の一つに運河がある。
小樽と言えば運河だ。
まずは運河へ向かうのだ……。

その時である。
僕は誰かに肩を叩かれた。
振り返ると、そこには若い男と、青い髪の幼女がいた……。
男はサングラスをかけた男の方は私服のようだが、なぜか幼女はバスガイドのような格好をしている。
隠しきれないこずるさが男の笑顔からにじみ出ていた。
一方、連れの純真そうな青い髪の幼女の方も笑っており、手には小さな旗を持っている。
旗には「柏木観光」と書かれていた。

「お客さん、観光ですか?」

サングラスの男が言った。

「え、ええ、まあそうですが……」
「ソイツはよかった。お客さん、小樽、初めてでしょう」
「ええ、一応……」
「ソイツはちょうどいい。
俺、いやワタクシどもは、有料で観光案内をしておりましてね。
小樽のガイドをさせれば、ふふ、我々の右に出るモノはいないでしょうなぁ。
ところでどうでしょう。
良ければ我々にあなたを案内させていただけないでしょうか……」

すると、旗を持った幼女が続けて言った。

「お兄ちゃんは授業も出ず、街をうろうろしてばかりいましたから、ばっちり観光名所は押さえてます。
だから安心ですよう?」
「授業? 学生なのかい?」
「ええ、お兄ちゃんは小樽の大学生です」

幼女がそう言うと、男が彼女の頭を軽くはたいた。

「たわけ、兄ではない、今は社長と呼べ、社長と。
貴様もビジネスパーソンならば仕事とプライベートの区別をはっきりとさせろ!」
「あ、はい社長、ごめんなさい」

見るからに怪しい二人であった。
だが、僕がこの街に不慣れなのは間違いないこと。
見知らぬ街小樽。知り合いもいない。
知らない街に一人というのも寂しいものである。
それに尋ねると「柏木観光」の案内料も安かったので、僕は少し迷ったが、この怪しげなガイド二人組に観光案内を頼むことにした……。
そう告げると、サングラスの男が握手を求めてきたので、僕はそれに応じた。

「契約成立ですな。
私は柏木社長、こちらの小さいのは平社員のデシ子です。
略してヒラ子とでも呼んでください。
よろしく……」
「ええ、よろしくお願いします……。
僕はカッコ・カーリーです」

我々が挨拶を交わすと、平社員のデシ子――略してヒラ子が楽しそうに柏木観光の小さな旗を振った。 
どこか生臭い、潮の匂いを含んだ風が、吹き抜けて行く……。
僕はその時、なぜだか不吉な予感を感じた……。

つづく。




※本作はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

http://award2010.konorano.jp/
http://konorano.jp/
http://twitter.com/konorano_jp


---------------第2巻発売決定!予約受付中!---------------
伝説兄妹2! 小樽恋情編 (このライトノベルがすごい!文庫)
著者:おかもと(仮)
宝島社(2010-12-10)
販売元:Amazon.co.jp
-------------------------------------------------------
-----