小樽巡り地獄変~そして商大へ~
あれから僕はもう帰ろうかとも思ったが、どうせだからと、小樽の大学小樽商科大学を見物してから帰ることにした。
商大はなかなか歴史の古い大学であるし、もうすぐ百周年だとかで、記念に写真でも撮っていこうと思ったのである。
ちなみに明津君と大塚君、そして社長は夜通し飲んだり走ったりで疲れきっていたのか、一度帰って寝なおすことにしたらしい。
池野中君だけが授業に。
まったく大学生とはフリーダムな生き物である。
そしてデシ子は「ぷろふぇっしょなるなびじねすぱーそん」としての誇りを主張し、商大をガイドするべく僕と一緒に大学へ向かった。
「こちら商大でございまーす。
校舎は小さいですが、北の地でキラリと光る知の北斗七星と言えば誇り高き商大……と社長はたまに言っていますが、目が泳いでいることが多いのでーす」
「ああ、そう……」
僕は商大の写真を撮って、ため息をついた。
まったくひどい旅行であった。
社長に引っ張りまわされ、飲みすぎて記憶を失い、最後はウンガー。
「まあひどかったけど、楽しかったと言えば楽しかったか」
めちゃめちゃな旅行だったが、普通では体験できないような経験をした。
自分の小説のキャラが現実に動いているところなどそうそう見れるものではない。
僕らは敷地内を散歩し(といっても敷地面積が小さいのですぐに終わった)、最後にデシ子の分も含めて二つ缶コーヒーを買ってベンチに腰掛けた。
「カーリーさん、これからどうするんですか?」
「ああ、帰るよ。
もう小樽でやることもないしね」
「それなら、最後に小樽築港駅で観覧車に乗っていくといいですよ?
あそこの眺めもいいものです。
わたしは、あんまり遠くへ行くとお兄ちゃんに怒られるのでついて行けませんが」
「いや、いいよ。
そう……じゃあ乗っていこうかな」
僕はデシ子と一緒に地獄坂を下った。
そして社長のアパートの前で、デシ子と別れた。
「また小樽に来たら、一緒に観光しましょうね」
デシ子はそう言って、僕に手を振った。
確かに見知らぬ街・小樽で、彼らに連れまわされたのは、まあ面倒なところもあったが、しかし一人では味わえない楽しさはあった。
僕は「ああ」とデシ子に返事をし、手を振った。
つづく。
※本作はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
http://award2010.konorano.jp/
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http://twitter.com/konorano_jp
----------------------第2巻発売中!---------------------
伝説兄妹2! 小樽恋情編 (このライトノベルがすごい!文庫)
著者:おかもと(仮)
宝島社(2010-12-10)
販売元:Amazon.co.jp
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あれから僕はもう帰ろうかとも思ったが、どうせだからと、小樽の大学小樽商科大学を見物してから帰ることにした。
商大はなかなか歴史の古い大学であるし、もうすぐ百周年だとかで、記念に写真でも撮っていこうと思ったのである。
ちなみに明津君と大塚君、そして社長は夜通し飲んだり走ったりで疲れきっていたのか、一度帰って寝なおすことにしたらしい。
池野中君だけが授業に。
まったく大学生とはフリーダムな生き物である。
そしてデシ子は「ぷろふぇっしょなるなびじねすぱーそん」としての誇りを主張し、商大をガイドするべく僕と一緒に大学へ向かった。
「こちら商大でございまーす。
校舎は小さいですが、北の地でキラリと光る知の北斗七星と言えば誇り高き商大……と社長はたまに言っていますが、目が泳いでいることが多いのでーす」
「ああ、そう……」
僕は商大の写真を撮って、ため息をついた。
まったくひどい旅行であった。
社長に引っ張りまわされ、飲みすぎて記憶を失い、最後はウンガー。
「まあひどかったけど、楽しかったと言えば楽しかったか」
めちゃめちゃな旅行だったが、普通では体験できないような経験をした。
自分の小説のキャラが現実に動いているところなどそうそう見れるものではない。
僕らは敷地内を散歩し(といっても敷地面積が小さいのですぐに終わった)、最後にデシ子の分も含めて二つ缶コーヒーを買ってベンチに腰掛けた。
「カーリーさん、これからどうするんですか?」
「ああ、帰るよ。
もう小樽でやることもないしね」
「それなら、最後に小樽築港駅で観覧車に乗っていくといいですよ?
あそこの眺めもいいものです。
わたしは、あんまり遠くへ行くとお兄ちゃんに怒られるのでついて行けませんが」
「いや、いいよ。
そう……じゃあ乗っていこうかな」
僕はデシ子と一緒に地獄坂を下った。
そして社長のアパートの前で、デシ子と別れた。
「また小樽に来たら、一緒に観光しましょうね」
デシ子はそう言って、僕に手を振った。
確かに見知らぬ街・小樽で、彼らに連れまわされたのは、まあ面倒なところもあったが、しかし一人では味わえない楽しさはあった。
僕は「ああ」とデシ子に返事をし、手を振った。
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