そんなこんなそんなこんなそんなこんなそんなこんな
3月26日
「二次は23人か、思いのほか残ったな」
「俺! 俺! 天才! 天才!」
「バカか、まだ何も始まっておらんわ。しいて言えばここからが勝負ではないか」
「河童、勝負っていったい? 候補者全員で相撲とか?」
「そんなわけあるか! ここからはきっと編集部全員が全作品を読むことになる。誰かひとりでも人間、お前の作品を強烈に押す人間がいればきっと通るはずだ」
「河童、俺、頑張る」
「頑張ってもしょうがない。ここからは俺が一肌脱ごうでは無いか」
「何すんの河童」
「何、ひとりいればいいのだ。ひとり強力にお前の作品を押す人間が」
河童がわっるい顔で笑う。
「脅しか?」
「それしかあるまいて」
「いいねー」
「任せろ人間」
「行け河童!」
「その前に」
河童が俺に抱きつく。
「おめでと、人間」
目頭が熱くなる。電気を消し、足で乱暴に布団を広げる。
「河童! 河童! 河童!」
「人間! 人間! 人間!」
二人の夜は更けていく。
―――「このラノ大賞」二次通過
※本作はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
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