このライトノベルがすごい!文庫 スペシャルブログ

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2011年12月

ランジーン×ビザール テイクワン⑤(最終話)

ランジーンビザール

【5】
 よく周囲を見ると道路が少し先に見える。道路から少し外れた砂漠の中のようだ。燃えているファウストさんの車がある。そして十字架につけられたファウストさんの死体、白い三角尖がりマスクをつけた人たちが六人くらい、手にはみんな斧とか剣とか持ってるし反対の手にはすごい大きな銃を持っている。
 私は何が起きているのか分からなくて呆然としていたらパチントンDCが泣く声が聞こえて振り向くと私の後ろでパチントンDCが三角マスクの一人にぼこぼこに殴られていた。
 私も殴られる、そして無理やりワンピースを脱がされそうになるから抵抗するとぼこぼこに殴られてびりびりにワンピースもパンツもママの靴も全部取られて裸にされた。
 何するつもり?って何するもかにするもレイプされるのだろう。それくらいは私でも分かる。でもここで? ファウストさんの死体の前で? パチントンDCが見ている前で? それは嫌だ! 絶対に嫌だ! 私は立ち上がって走って逃げようとするが思いっきり背中を蹴られて転ぶ。
「やめて!!」
 大きな声で叫ぶが三角マスクの男たちは次々ズボンを脱いで私に近づいてくる。
「やめて!!」
 私の手足は押さえつけられて大きな体の男が私の上に伸し掛かってくる。
「パチントンDC! 私を見ないで!」
 大きな声で叫ぶ、私はパチントンDCを見たらパチントンDCはパチントンDCでうつ伏せにされ、大きな男に伸し掛かられていた。
「いたいよー!」
 泣き叫ぶパチントンDCの声、私は抵抗しようと暴れるが伸し掛かってきた男に殴られてなんべんも殴られて、痛い! 痛いって暴れる気力がなくなるまで殴られて、もうどうでもいいやって気持ちになる。

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ランジーン×ビザール テイクワン④

ランジーンビザール

【4】
 このお漏らししたおしっこだらけのパンツを交換するだけの儀式になんの意味があったのだろう? 私は差し出されたパチントンDCのビショビショのパンツをはいて、パチントンDCは私が脱いだビショビショのパンツをはいて、なんとなく二人とも気持ちが悪いから立っている。会話はない、もう話すことなんて存在しない、口もききたくないし、パンツが濡れていることが不快すぎて実際私は立っているのもやっとってところだ。
 そういえば衝撃的な体験に惑わされて忘れていたが私たちは殺されるのを持っている途中だった。もうパンツの不快さ加減で、早く殺すのなら殺して欲しいぐらいだが、まだまだ時間はかかるのだろうか? もうお日様は天高く上がりお昼はとっくに過ぎているはずなのだけれど一向にこの広場には誰も集まってこないし、私たちを連れて来たドワーフマンも様子を見にすら来ない、本当に殺されるのだろうか? いやここまで無視され続けるとそんなことすら考えてしまう。しかし暑い、太陽の光をさえぎる物がないからすごく暑い、これはパンツが渇くかもしれないと思いワンピースをまくり上げてパンツを太陽に当てていたらすごい熱視線をパンツに感じた。パチントンDCが私のパンツにすごい熱視線を浴びせかけている。お前、このパンツお前のだぞ、お前結構なんでもいいのな。そんなことを考えながらパンツを太陽の光に当てていた。
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ランジーン×ビザール テイクワン③

ランジーンビザール


【3】
「いやあれじゃん? 僕ほらママの袋の中にずっといたわけじゃん? そりゃ袋から出ることもあったよ? でもほら通信教育だし、基本ママと二人だし、ママすごいマッチョだったし、それどころか男だったし、僕女の人と話すのって今日が初めてなんだよね、でも僕も十五歳じゃん? 通信教育でも保健体育とかあって基本的に僕は女の人の存在を知っていたわけじゃん? 会ったことはないけど、会って話すのとかって君が初めてなんだけど、それでも僕って十五歳じゃん? だからいろいろ興味があってもおかしくない年頃じゃん? そりゃ興味あるよ! 女の子とか、お、お、お、おっぱいとかに興味があるよ! 普通だよきっと! そう普通のことだよ! だから僕死ぬ前におっおっおっおっぱいを感じてみたいんだ! 男の子として! 普通のことだよ!」
 私は必死で弁解するパチントンDCをシラーって感じで見ていた。すごく饒舌にしゃべるなこの人、立て板に水だね、恐ろしく早く喋るから結構聞き取れないところもあるけどそれはそれとしてすごい必死、本当に必死、死ぬまでにおっぱい触れないと死ぬってくらい必死、なんて言うか男の子って大変だな~って感じた。
「そんな高望みをしてるわけじゃないんだ! チラッと、チラッとタッチでいいんだ! もにゅもにゅしたり、ちゅうちゅうしたりはそれほど重要じゃなくて! いや! いやなわけじゃないんだよ! もにゅもにゅもちゅうちゅうもしたくないわけじゃないんだよ! でもそこまで望んだら罰当たりっていうか、そこまで望んで全部だめならチラッとタッチだけでも勝ち取りたいと思うんだ! チラッとだよ! ホント触れてるか触れてないかくらいでいいんだ! 君は少し目を瞑っている間にすべて終わるから! 僕、君に気がつかれないくらいの、あれ、触れてるの? 本当に? くらいのソフトタッチでさわるから! 決して君を不快にしたり苦痛を与えたりとかそんなんじゃないんだよ~!」
 チラッとタッチって単語を初めて聞いたのと、ちゅうちゅうしたくないわけではないって言葉に背筋が凍りそうになったけど恐ろしいほどの本気具合と気合に 少し押された。熱風みたいなパチントンDCの気合はブヲーンって感じで私の体を直撃し後ずさりそう。本気ですごい、彼のおっぱい揉みたいって気持ちの本気 度が怖い、別におっぱい揉まれるのがさほどやなわけではない、減るもんじゃない、大して膨らんでもいないおっぱいだけに私のなんかですいませんって気持ち すらある。でも目の前のパチントンDCを見ているとおいそれと自分の体の一部を彼に預けていいものかって気持ちになる。すごく怖い、思いっきり掴まれても がれたりしそう。
「いや、怖い」
「いやいやいやいやいや怖いことなんて何もしないよ! 怖がる理由なんてなくない? なくなくなくない? 怖いはずないじゃん? おっぱいって元々揉んだ り揉まれたりするためについてるわけじゃん? そーゆーもんじゃん? もともとそーゆーもんなんだから実際体にそんなに負担掛けたりする行為のはずない じゃん? 軽くだよ? ペロンとだよ? そんな怖がる必要なんてないんだよ? 僕に任せて、任せてすべてを任せてって初めてだけどその分頭の中では何十 回って、何百回って、いやいや何千回っておっぱい揉むことのシミュレーションはしてあるから、理論だけなら僕上級者ってレベルに達しているはずだから、決 して無理はしないし君の体に負担を与えるようなことをしないから、お願いだよ!
 一生のお願いだよ!
 僕このままおっぱいを揉まずに死ぬことなんて考えられないんだよ!
 お願い!
 お願い!
 お願いします!
 チラタッチでいいんでおっぱいを揉ませてください!」
 うわ~泣いてるよ~、頭を地面につけて泣いてるよ~、怖いよ~。
「うっうっうっうっ……」
 泣いているパチントンDCの頭を撫でてあげるとすごい勢いですり寄ってきた。もう虫って感じ、いやもう男の子って大変、大変ってことはよく分かったし怖いこともよく分かったし、なんとなくだけど可愛いってこともよく分かった。
 よし、ここはこちらが心を決めるしかないようだ。よし期待に応えようではないか。続きを読む

ランジーン×ビザール テイクワン②

ランジーンビザール

【2】
「うんにゃ、それは許されねえ」
 けっこう大きな声がしてビクッてなって目を覚ます。抱きかかえられている感覚、きっとファウストさんだと思う、臭うし、焦げた感じの最初に会った時から感じていた独特の臭いが臭うし。
「その娘ッコロはオウヴァ・ラヴァの腹ん中にいたガキんちょだろうが? 管轄はワシらにあるっぺ、わしらはオウヴァ・ラヴァ、スメル・リトルと協定を結んでこの自治区を管理してんだっぺ、そんな外のことは知らないっぺ、外の事情なんて知らないっぺ」
「ですがこの子はオウヴァ・ラヴァが管理していた子供ですよ? この自治区に市民権があります。この子の保護は自治区に責任があるはずだと思いますが?」
「準・市民権だっぺ、『ランジーン』の家族、パートナーなどが自治区内で生活するときに与えられる準・市民権だっぺ、市民権があるオウヴァ・ラヴァが死んだんならそのガキんちょの準・市民権も剥奪されるっぺ、自治区内にいる人間の処遇は自治区で決められる、それが自治区の特権だっぺ、そのガキんちょ煮るなり焼くなりわしらの勝手だっぺ」
「しかし、」
「保安官さんよう? 今回の暴動鎮圧には感謝してるっぺ、多くの仲間が死んだっけど生き残った仲間も多くいるっぺ、だからわしらはこの第四『ランジーン』自治区を立て直さなくちゃいけないっぺ」
「しかし、」
「確かにそのガキんちょはオウヴァ・ラヴァの孤児だっぺ、それは分かってるっぺ、でもそのガキんちょはオウヴァ・ラヴァじゃないっぺ、ただ腹の袋ん中に入ってただけの人間だっぺ、これだけ人間に仲間殺されて自治区内の反人間感情は今最高潮だっぺ、受け入れられないっぺ」
 私は薄目を開けて周囲を見る。知らない部屋の中、やっぱりファウストさんに抱っこされている。チラッと『だっぺ』さんを見る。マッチョで、でも身長は私くらいしかない髭を生やした人、あードワーフマンさんだ。そうかこの人が私が住んでいた自治区のトップなんだって思う。そして今までの話からすると私はこの自治区の中には残れないってことか、しょうがないか、私『ランジーン』じゃないし、私はママの子供だけど『ランジーン』じゃない、ママはオウヴァ・ラヴァって『ランジーン』でお腹に大きな袋があってその中で子供を育てるんだけど、私はママの子で袋の中で育ってたわけだけど袋があるわけじゃないし、袋をつけたいとも思わない。ここは『ランジーン』の土地だ、私はママの娘だからここにいられたわけだ、もうママが死んじゃって私はママの娘ってポジションを失ってこの土地じゃただの人間になっちゃったから、もういられないんだ。そうか、もういられないのか。
 でもどこへ行こう? こまったー。
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ランジーン×ビザール テイクワン①

ランジーンビザール

 プロローグ

 我が国、愛すべきアメリカ合衆国で『ランジーン』の始まりは一人の少女だった。

 彼女、アマンダ・テールノーズは八歳の時、クリスマスプレゼントが置いてあるリビングのモミの木(5ヤード以上の高さがあったとされている)を軽々飛び越えて見せた。困惑する両親の前で自分のことを『ラビット』と呼び、自己紹介と両親に敬愛の念を述べたと言われている。周囲の大人、まず彼女の両親は彼女の言動を小児性の空想だと判断し放置していたが、次第に彼女の空想は妄想のように彼女を支配し始め、もう彼女の中にはアマンダは存在せず、超人的な跳躍力と高い知能と社会性を兼ね備えた、完全な別人格『ラビット』がアマンダの体を乗っ取っていた。
 精神科医から精神科医、カウンセラーからカウンセラー、両親は裕福な家庭環境もありアマンダ・テールノースの中から『ラビット』を取り除くため全米を駆け巡った。アマンダ・テールノーズには様々な医師から様々な病名がつけられた。
 統合失調症による幻覚幻視を伴う家族避認妄想と自己神格化妄想。
 パラノイヤ型妄想。
 家族内でのダブルバインドがうまく受け取れず発症したPTSD。
 解離性同一性障害。
 そして多くの精神科医たちが指摘した解離性憑依障害。
 解離性憑依障害とは一人の人間の中に複数の人格が現れる解離性同一性障害と似通ってはいるが本質は全く違う。
 解離性憑依障害とは憑依されるのである。基本的には神、悪魔、精霊、天使などが一般的であるがドイツでは黒犬が、日本では狐が憑依する解離性憑依障害が報告されている。また歴史上の宗教的偉人、預言者や開祖などが憑依するケースもある。宗教的意味合いが強いコンテンツが体に憑依した状態になるこの疾患は、主人格が宗教的コンテンツに乗っ取られるケースも少なくはない。妄想ではあるが、妄想以上に人格形成が完成してしまっているためもう妄想として処理できない、そのような疾患だ。
 しかし両親はこの病名に納得ができなかった。
 まず、超人的な身体能力。
 アマンダ・テールノーズは八歳(もうこの時には十歳になっていたが)にしては小柄で、運動能力も同年齢の子供たちから比べると劣っているくらいだった。そのアマンダ・テールノーズが八ヤードを垂直飛びし、四足ではあるが五十メートルを六,〇秒で走るのだ、決して妄想のみでできるはずがない。
 次に、その社会性と高い知能。
 アマンダ・テールノーズは内気で引っ込み思案な少女だったが、全く変貌していた。礼儀正しく利発で、そして少女とは思えない口調で両親に接していた。まるで大人のように、そう、『ラビット』は大人だった。
最後に身体変化。
 アマンダ・テールノーズの目が、自分を『ラビット』だと自己紹介した時から彼女の目は真っ赤に染まっていた。虹彩が青かったはずの彼女の瞳は赤い、まるでウサギのような真っ赤な瞳に変わっていた。
 やはり妄想やその他疾患だと説明できない。亜種疾患としてもあまりに違いすぎる。両親はどうしてよいものか悩み、答えを探し続け、全米を飛び回り、書物を読み漁り、ネットで検索し続けた。
 そして出会った。
 アマンダ・テールノーズの今をそのままに説明してくれる現象に。
 それが日本人の研究者が発表した一つの論文だった。
 そこに乗っている言葉一つ一つに両親は身震いし、歓喜の涙をこぼした。
 アマンダ・テールノーズの疾患名が分かったのである。
 伝染症、言葉による自己増殖のための生存戦略。
 まるでヴァイラスのように人間の脳に住みつき、体と思考を変化させ、脳を機能的に器質的に変化させ、まるで違う生き物に変える。そして人間の口からまた言葉として飛び立ち次の脳に宿り、そこでも人間を変化させる。宿主は『シゾク』と呼ばれるファミリーを形成し、より病原体を外に排出しようと、勢力を拡大しようと言葉にコントロールされる。
 タンパク質も持たない、
 プリヨンよりも生物として不確定、
 情報だけで肉を持たない存在、
 生命体として行きつくだけ行きついた存在。

 『イゲンシ』
 
 研究者は、論文の最後にこのように記していた。
「私はこの存在に名前を付けるにあたり二つの事柄に留意した。
 一つはこれを生命体として認める、認めないの両者が納得できる名前であること。
 二つ目はこれの伝達方法が名前を見ただけですぐに分かること。
 遺伝子は生命体の設計図であり、DNAの集合体である。設計図を生命そのものだという者もいるだろう。設計図は生命ではないというものもいるだろう。つまり遺伝子は生命体でもあり生命体でもないと言えるのではないだろうか。
 この存在がどのように伝達していくかはもう分かっている。言葉だ。言葉がこの存在の伝達、伝播、増殖には欠かせないファクターとなっている。
 そのことを踏まえ私はこの存在に、
 ラング(言葉)とジーン(遺伝子)、
 二つの言葉を組み合わせた造語を名称にしようと思う。


 『ランジーン』


 これがこのバカげた素晴らしい存在の名称である」

 両親はアマンダ・テールノーズを抱きしめて涙を流した。
 
 そこからが戦いだった。アメリカ合衆国の精神医療学会はドイツと並んで『ランジーン』否定派の最右翼だった。アマンダの両親は叔父である下院議員フォロフォック・テールノーズを口説き落とし「『ランジーン』保護とその人権の保障についての法律」を下院に提出させた。そして自ら娘と共にテレビ、ラジオ、何百回という公演を重ね国民の支持を取り付けようとした。

「『ランジーン』は危険な存在ではないのです! 私の娘アマンダは『ラビット』と呼ばれる『ランジーン』に感染しましたが彼女は私たちを襲ったり、私たちを感染させたりしようとしたことは一度としてありません!
 アメリカ合衆国国民の12%が『ランジーン』であるとの試算が出ています。
 これはアメリカ全土にいるアフリカ系アメリカ人の数とほぼ同じです。
 これだけ多くの国民が『ランジーン』になっているのに国はまだ目を逸らし続けるつもりでしょうか!
 今必要なのはアメリカを本来の姿に戻すことです!
 差別なきアメリカ! 自由の国アメリカ! アメリカ合衆国に今必要なのは!
 変わる!  強い! 意志です!
 取り戻す! 強い! 決意です!

 今! 『ランジーン』は不当な差別の下にいます!
 隔離され殺されようとしています!
 私の娘はサイコーシスと言われ隔離され殺されようとしています!
 どうか助けて下さい! 
 強いアメリカ! どうか私の娘を助けてください!」

 叫び続け、彼女の両親はアメリカ国内で『ランジーン』の権利を勝ち取った。
 国民は心打たれ「『ランジーン』保護とその人権についての法律」を支持する大統領を選んだ。決め手になったのは涙を流し懇願する両親が語る強い国アメリカへの高揚感と、アメリカ最大の福音派教会が「『ランジーン』は神が作り出したもの。神のご意志です」と『ランジーン』の存在を認めたことにあった。
 下院、上院、共に「『ランジーン』保護とその人権の保障についての法律」を可決し、ここに我がアメリカ合衆国での『ランジーン』の地位は確立されたのである。『ランジーン』はこの時アメリカ国民として、自由と平和の国の一員として認められたのである。『ランジーン』はその性質上『シゾク』と呼ばれるファミリー(同族同士のコミュニティーをそう呼ぶ)を形成し生活するが大きなファミリーには一定の土地を与え、もっと大きなファミリーには一区間内で自治権を与えられた。法律に伴いレベルの高い生活保障と保護を与え、『ランジーン』皆保障を実現させた。
 この事により『ランジーン』後進国だった我がアメリカ合衆国は世界に類を見ない『ランジーン』に優しい国、『ランジーン』が住みやすい国に変貌したのである。

 ああ我が麗しのアメリカ! 素晴らしいアメリカ! 自由の国アメリカ!
 我々合衆国国民は声を高らかに宣言しようではないか! 我々は成し遂げたのだ!
 自由を! 平等を! 差別なき社会を! 
 我々は未知の存在である『ランジーン』までも友人として隣人として家族として受け入れられる成熟した国になったのだ!
 強いアメリカ! 誇るべきアメリカ! アメリカ国民であることに胸を張ろう!

 アメリカ合衆国は素晴らしい!!
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ランジーン×ビザール公開!

本日より、大間九郎先生による新作、

ランジーンビザール

ランジーン×コード・インスパイテットストーリー
『ランジーン×ビザール


をスペシャルブログにて公開いたします!

『ファンダ・メンダ・マウス』大間九郎先生×『ランジーン×コード』大泉貴!

1月から、2ヶ月連続刊行をむかえる、『ランジーン×コード tale.4』『ランジーン×コード tale.5』の発売を前に、
注目コラボ企画が実現しました!

疾走感溢れる、独特の世界感で人気の大間先生が、
大泉先生の『ランジーン×コード』の世界で、縦横無尽に暴れまくります!

また、作品監修には大泉先生ご自身を迎えて、
本作をバックアップ!

第一部は本日より5日間連続アップ予定!

果たして、どんな物語が紡がれるのか!?
ゼッタイ見逃せない!

↓↓第一話へはこちらのバナーから↓↓
ランジーンビザール

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ファンダ・メンダ・マウス (このライトノベルがすごい!文庫)ファンダ・メンダ・マウス
著者:大間 九郎
販売元:宝島社
(2010-09-10)





ファンダ・メンダ・マウス2 (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫)ファンダ・メンダ・マウス2
著者:大間 九郎
販売元:宝島社
(2011-03-10)

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石積みの少女③(最終章) 著:里田和登 イラスト:先島えのき

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石積みの少女③(最終章) 

著:里田和登 
イラスト:先島えのき

 僕はしばらく大学を休み、部屋の中をのたうち回るだけの生活に入った。
 やがて、この報われない反復行動が、単なる自慰行為に過ぎないことを悟り、
 ある晴れた日のこと、鉱石を抱えて、最寄りの河川敷に向かった。
 ごつごつとした岩がたくさんあり、大きさも申し分ない。
 1つ目の石碑が完成した頃には、空の色は赤と紫のごった煮になっていて、
 いらだちの原因になっていた汗も、すっかり引いていた。
 振り返ると、僕とその隣に、2つの長い影が落ちていた。
 
 僕はその後も、石を積み続けた。
 川べりの岩をめくり上げ、裏側にはりついたかわいそうな生きものを、
 気持ち悪い、気持ち悪いといって、たのしむ子供たちの声が聞こえる。
 この世界でも、鉱石は可能な限りの働きをみせた。
 なぐさめ品として支給できるのは、
 この鉱石にあらかじめ収録されているもの、つまり情報の類に限られるようで、
 10点で得られるはずの机を所望しても、持ち点が減ることもなければ、
 ある日突然(机のようなもの)が降ってくることもなかった。
 この日、12個目の石碑が完成し、僕の持ち点は12点となった。
 高架を通過する、せわしない列車の音を聞きながら、
 ただぼんやりと、12の影を視界に入れていく。続きを読む

石積みの少女② 著:里田和登 イラスト:先島えのき

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石積みの少女②

著:里田和登 
イラスト:先島えのき

 翌日。僕は大学での用事を片付け、少女の星へと向かった。
 ところが、味気ない半球型の住まいに、なぜか彼女の姿が見当たらない。
 それにしてもだ。見回してみて、あらためて思うのが、
 本当に何もない部屋だということ。
 だが、過剰に(何もない)を意識させるわけでもなく、
 この(何もない)状態が、むしろ自然であるような気もしてくる。
 ふと(机のようなもの)の上にある、鉱石が目に入った。
 以前は(机のようなもの)の中央にあったそれが、少し左にずれている。
 何か目的があったわけではない。そうするのもいいかなと思い、僕は鉱石に触れた。
 この前より、扱いが上手くなっているような気がする。
 なぐさめ品の一覧は、僕が並んだ状態で見たいと思えば、
 期待通りに、箇条書きになってくれるし、そうしたいと望めば、
 ばらばらに散らすことも、点数順に並べることも出来た。
 やがて、一覧とたわむれることにも飽きてしまい、
 僕は視界の外れにあった(よくわからないもの)とたわむれることにした。
(よくわからないもの)は、視界の外れにあり、なんだかごちゃごちゃとしていた。
 そういえば、昨日も同じ場所にあったかもしれない。
 頭の中でいじろうとすると、一瞬だけ2つに分かれ、
 すぐにまた、ごちゃごちゃとした何かに戻ってしまう。
 ふと、星との接着を終えた後、少女が次に何を求めるのか知りたくなった。
 するとだ。
 (よくわからないもの)が、少しずつほどけていくではないか。
 (ほどく)を過剰に意識せずにいると、情報は自然とばらけていく。
 現れたのは、2つのなぐさめ品だった。続きを読む

石積みの少女① 著:里田和登 イラスト:先島えのき

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石積みの少女①

著:里田和登
イラスト:先島えのき

 僕は、どこにでもいる普通の人間だ。
 人より賢いわけでもないし、とりたてて運動ができるわけでもない。
 いじめ抜かれたこともないし、誰かをいじめ抜いたこともない。
 また目の前にいじめがあって、心の中では許せない気持ちがあっても、
 何らかの手段で介入できるほどの勇気もない。
 せいぜい自分が次の生贄にならないように、それなりのスタンスを繕うくらいのものだ。
 要するに僕は、そこらへんに転がっている、一山いくらの凡人でしかない。

 10代なる時期は、自分の普通さを、なかなか受け入れられないものだ。
 普通は、そうだ。もちろん、18歳の僕だってそう。
 普通の人間だからこそ、普通であることを受け入れるまで、
 普通に時間がかかってしまうのだ。
 けれど、一度普通さを受け入れると、ずいぶんと心が楽になる。
 自分に期待をしなくなるし、他人に期待をされていないからといって、
 傷つくこともなくなる。
 起きて、食事をして、それなりに勉強をして、排泄をして、床につく。
 きっと、このくだらないサイクルを繰り返しているうちに、
 いつの間にか老いぼれているのだろう。

 そう、思い込んでいたのだけれど。

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『石積みの少女』里田和登をブログ掲載!

先日、このライトのベルがすごい!文庫公式サイトにアップしました、
『僕たちは監視されている』の
里田和登先生の新作書き下ろし短編を
『石積みの少女』ですが、
是非携帯でも読みたいというリクエスト多数のため、
本日より、スペシャルブログでも公開することとなりました。
是非、里田ワールドをお楽しみください!

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<石積みの少女>

著:里田和登
イラスト:先島えのき

「人はこうやって距離をちぢめていくのですよね」

ある日、18歳の僕の部屋の天井に穴が開く。
そこからひょっこり顔を出したのは一人の少女だった。
彼女がこの世界にいられるのは、たった7日間。
浮世離れをした彼女と僕の淡く拙い交流。
あっという間に過ぎる日々。
そして、彼女は旅立つ。
あるものをこの世界に残して……。

『僕たちは監視されている』の里田和登が送る、
切なくも、温かい、現代おとぎ噺。


第1回このラノ大賞・金賞受賞作
『僕たちは監視されている』にも
通ずるような、切なく、はかない世界観。

是非ご一読を。。

本編へはこちらから→■

プレゼント企画も実施中!
本作品の感想を、メールまたはハガキで送ると、
抽選で2名様にこのラノ文庫オリジナル図書カードをプレゼントいたします。

①氏名②住所③e-mail④年齢⑤職業⑥このサイトをどこで知ったか
⑦このサイトを見る頻度(ex:週に1度くらい)⑧作品へのご意見、ご感想

■ハガキでのご応募
〒102-8388
東京都千代田区一番町25番地
株式会社 宝島社 編集2局
このライトノベルがすごい!文庫編集部
『石積みの少女』プレゼント係

■メールでのご応募
info@konorano.jp
件名に『石積みの少女』プレゼント係とご記入ください。


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里田和登既刊作品
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僕たちは監視されている (このライトノベルがすごい!文庫)僕たちは監視されている
著者:里田 和登
販売元:宝島社
(2010-09-10)

僕たちは監視されている ch.2 (このライトノベルがすごい!文庫)僕たちは監視されている ch.2
著者:里田 和登
販売元:宝島社
(2011-01-08)


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