《3》
シスターナナはそれから一週間に渡って連日マジカロイド44を訪ねてきた。マジカロイド44はシスターナナが来るたびに「きっともうすぐだ」「兆候が見えている」「魔法少女になる日も近い」などと煽ってシスターナナを喜ばせ、「完全全自動掃除機」や「一日で漫画が書けるペン」「対魔法生物用光線銃」等を売りつけ、一日に一万円ずつ財布の中身を肥やしていった。少しずつ重くなる財布を眺めてにやにやとする日々。このままいけば念願のマイホームを手に入れることができるかもしれない。
しかし蜜月は長くなかった。最初の出会いから一週間で、シスターナナの「理想の王子様」は魔法少女になってしまったのだ。七個目の未来アイテム「マジカルパワー増幅ピアス」を装着して間もなく魔法少女に目覚めてしまったのだという。
ああマジカルパワー増幅ってそういうことかよ畜生だったら渡すんじゃなかったと歯噛みして悔しがったが、外面ではおめでとうございますと祝っておいた。
シスターナナは、それはもう喜んだ。マジカロイド44の手をとって上下左右に揺らし、最終的にはグルグルと振り回した。ビルの屋上で回転しながらマジカロイド44はがっかりした。やはり魔法少女は金にならない。
シスターナナから「魔法少女になったお祝い兼お世話になった方々への御礼パーティーを開きたい。ちょっとしたお菓子や飲み物も用意するのでぜひ来てはいただけないだろうか」という招待を受けた時は迷うことなく了解した。ちょっとしたお菓子や飲み物という魅惑の言葉に惹かれたのが八割。残り二割は「理想の王子様」が気になったというものがある。
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