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【3 BRAIN’s Turn】
-ビッチング・マシン-

AM11:00/式場地下駐車場
 おーおーおーおー閉じ込められて早三十分は経ってると思う。マジ後ろ手の手錠とか辛いんですけど、サルグツワ涎が止まらないんですけど、何これ? 花婿に対する仕打ちとしては最低ランクなんですけど。なんて感じでこのヨコハマ・グランドホテルの地下駐車場に併設されている清掃用具置き場に監禁されているわけで、あのクソジャリに裏切られたわけで、それにしても凄い力で凄い戦闘能力だったわけで、マジ体が全く動かなかったわけで、動いたら殺される殺気ビンビン感じたわけで、あのジャリマジ戦闘民族だわーってな感じ。あの力なんかに使えないかね? エコとか? 
 このままじゃヤバい、このままじゃ時間がきてマジ結婚させられちゃう。結婚は嫌なの! 結婚は人生の墓場って聞いたの! 結婚すると自分の時間がなくなっちゃうらしいの! 結婚は不良債権を持つのと一緒ってミチルちゃんのパパンが言ってたの! あ、あの人だからよそに子供つくったのか。なるほど納得。いやいや納得しちゃダメか、でも納得。納得したところでこの話はどー考えてもおかしい、嫁候補三人はネーネ(姉)、戦闘民族(ジャリ)、マァさんちの金髪(あったことナシ+ジャリ)なのだ、おかしすぎる。結婚てアレでしょ? 愛するふたりがサッ、人生をサッ、共にサッ、ベッドもサッ、共にサッ、ソーユーんでしょ? それが結婚の醍醐味で、それが全てでしょ? なのになにジャリ・ジャリ・姉のこのコンボって、ベットをサッ、共にサッ、出来るわけねージャンバカじゃねーの!
 とりあえず逃げねばー!

××××

 わたくしはこの結婚に納得しているわけではありません。なぜならわたくしとマスターの間にはもう子供がおり、マスターはこの子供たちを心理的には認知しており、つまりは制度上はどうなっているかは知りませんし知る必要も感じませんがわたくしとマスターは広義では夫婦といって間違いない間柄だからです。
 つまりは、わたくしはマスターの正式な妻なのです。
 私達は結婚しているのです!
 愛し合っているのです!
 そのうちわたくしは新機能を追加してベットをサッ、共にサッ、となるのです!
 それをマスターも望んでいるはずです!
 いや望んでいます!
 あのつれない素振り、あの素っ気ない言動、あれは全てテレ隠し、そうテレ隠しなのです! あ、テレ隠しって思ったら凄く萌える。凄く萌え萌える。凄く萌え萌えますよマスター!!
 なので歌います。

 アーアアーアーマスター♪ わたくしのマスター♪
 愛しいマスター♪ うるわしのマスター♪
 アーアアーアーマスター♪ わたくしのマスター♪
 さびしがり屋マスター♪ てれ屋さんマスター♪
 この結婚式潰す!

××××

 あーあーあーあーなんかこの感じすごく良くなってきた! 良くなってキちゃった! 鷺女の制服、後ろ手の手錠、サルグツワで涎ダラダラ、これってなんかおれ得じゃね? そうか監禁とかって考えるからいけないんだ! これはプレイ、プレイって思えばいいんだ! 黒いタイトスカートに黒ブチメガネの女教師、足はピンヒールに黒のパンスト、
「マウスちゃん、なんで先生の言う事が聞けないの?」
「せ、先生! そんな! こんなカッコ!」
「あらあら、口ではそんな事言っててもジョニ男君はもう、こんなよ」
「先生! あ! だ! だめ~!」
「あらあら、本当にいやらしくて悪い子、そんな子にはオシオキが必要ね」
「ほら手をだしなさい!」
「ほらサルグツワをはめなさい!」
「それじゃココで先生がいいというまで待っていなさい。なんて悪い子、こんな恥ずかしいカッコをさせられても、いや、させられたからかしら、ジョニ男君がビンビン」
 なんて感じで放置プレイ、ジョニ男、いきり立ちすぎて痛い。
 いかん逃げねば! でももう少しこのプレイを! いやいかん逃げねば! いやでももう少しで! もう少しで! もう少しで新しい自分に出会えそう!

××××

 マスターが先ほど山下公園で捕縛されたことは情報として入っております。そしてこのヨコハマ・グランドホテル地下駐車場に監禁されていることも。
 サーモグラフィ・オン。ふむふむ、人と思しき熱源が四つ、一つの部屋の前にあります。つまりはあの部屋が監禁場所、そしてあの人間達はマスターを逃がさない為の監視役でしょう。もう少し近づきます。
ふむふむ、部屋の中には熱源が一つ、つまりはマスターでしょう。しかし気になる事があります。部屋の中のマスターだと思われる熱源が人間としてはありえない高温を発しています。なんでしょう? あれは人間? それともダミートラップ? いやダミートラップにしてはお粗末すぎますし、マスターは人知を超えた生態をしていますのであれはマスターと考えていいでしょう。
 ではいきます。
 マスターわたくしが救出して差し上げますよー。

××××

 部屋の外が騒がしい、騒がしくてプレイに集中出来ない。お前ら人のこと監禁してんならもそっと丁寧にあつかえや! こちとらプレイ中だぞ! 気を使えや! 
ぎぎぎ
 おろ? ドアが開く! もしかして先生!? もしかしてこれからもっと上級のオプションプレイ!? 放置プレイからどんなプレイが始まんの!? おれっち死んじゃう! これ以上の性的刺激受けたら死んじゃう! 悶え死んじゃう!!

××××

ぎぎぎぎ

「マスター! お救いにまいりましたよー! 何!? プレイ中!? 調教中!? なんで制服!? なんでカッちんカっちん!? マスターがJKプレイしてる! JKプレイに没頭してる!」
「ぐぞぁたで~」(くそったれ~)
「これは外していいのですか!? このサルグツワを外したらマスターは女王様にお仕置きとかされるのですか!? わかんない!? こんなワンダーランドどうしていいかわかんない!? お助けしたいけどお助けする方法がわかんない!? マスター! どこまで遠くにいかれたのですかー!」
「ぐぞぁたで~」(くそったれ~)
「あああああ凄い恍惚の表情で近づいてこられてもわたくしそんな機能はございません! こわい! マスター凄い怖い! 凄い虫みたい! ツチノコみたい! 芋虫みたいに這いずってわたくしに近づいてこないでください! こわい!  マスターわたくしは! わたくしは! 勉強不足でしたー!!!!!!!!!!」

ぎぎぎぎぎ

××××

 くそったれがドア開けて入ってきて叫びまくって出ていった。なんだアイツ? どんだけピーキーなのよ? 最後ツチノコツチノコ言ってたけど何いってんのよ?この部屋のドコにツチノコがいんのよツチノコが? あ、いた、おれの股の間にカワ被りのツチノコ君が。ギンギンで。
 まーとりあえずはドアが開いた、これで逃げる事が出来る。おれは立ちあがり歩いてみる、うん歩ける、足に拘束具はされていない、これなら逃げだせる。ドアから少し頭をだし部屋の外を伺う、そこには黒服四人が折り重なるように気絶している、くそったれファインプレー、褒めてつかわす。外にはおれを監視する者は誰もいない、おし! それじゃー逃げますか!ってところでミチルちゃんに出会う。

××××

「こんにちはマウス。いや、今はマウスちゃんッて呼んだほうがいいかしら?」
「びびぶじゃん! だんでごごべんぼ!?」(ミチルちゃん! なんでここいんの!?)
「ほら、人手が必要かと思って」
「ぶびぶぼ! ぶびぶぼぼぼぶびぶぼ!」(必要! スゲー必要!)
「そうよね、そのままの格好じゃ式の花婿としては適してないものね。タキシードがいいかしら? それともフロッグコート?や、やっぱり白?」
「びびぶじゃん! だぶべべぶぶぶんぼ!?」(ミチルちゃん! 助けてくんないの!?)
「キャサリンさん」
「だぶべじべぶぼ!!」(なんで知ってるの!!)
「横浜一の女王様キャサリンさん。自身が経営するクラブ『華であり豚』ではオーナーでありながら一番人気で、キャサリンさんとのプレイを求めて県外、果ては海外からプレイヤーが集まってくるというカリスマ。新規の予約は半年待ち、そのキャサリンさんのスケジュールがぽっかり二時間開いたのは昨日の夕方六時。マウス、昨日の夕方六時から八時の間貴方はどこにいたの?」
「じぼぼ! じぼぼ!」(仕事! 仕事!)
「キャサリンさんは私の店の常連なの」
「ばぶべ!!」(マジで!!)
「昨日の夜いらっしゃっていろいろ聞いたわ。マウスの事、プレイの事、マウスとのプレイの事」
「じじびぶ! じじびぶびばぶ!」(守秘義務! 守秘義務違反!)
「マウス、その穴は出すための穴で何か入れたりするようには出来てないのよ」
「!!!!!!」
「マウス、その玉は大切な玉でそんなに乱暴に扱ってはいけないのよ」
「!!!!!!」
「マウス、ガムテープは貴方を拘束するために作られたわけではないのよ」
「!!!!!!」
「マウス、その棒はピンヒールで踏んでもらうためについてるのではないのよ」
「!!!!!!」
「マウス、貴方は椅子ではないのよ」
「花瓶でもないわよ」
「ソコはそんなに曲がらないわよ」
「アレはファンタジーで実在はしないのよ」

「マウス、貴方、変態よ」

「そして変態にはお仕置きが必要。そう、キツイお灸、そう、結婚とか」

××××

 変態、おれが変態……いやいやいやいやそんなはずないでしょ!? プレイはプレイでレクリエーション的な意味合いが強くてそれで人の性癖とか変態性とかそんなん測られたらたまったーもんじゃないわ! 変態じゃないわ! 少し冒険心が強いだけだわ! 変態って言うのはもっとこうネッチリ的な? モッチリ的な? ムッツリ的な? そんなんだわ!
「あのおじさん、こわい……」
 おろ可愛い声? どこから? あ、ミチルちゃんの後ろから。なにこの可愛い声? 少女? 幼女? でもおれっちそっちには興味ないんだわー。
「『ブレイン』大丈夫よ、出ていらっしゃい」
 ミチルちゃんの後からおずおずぶるぶるしながらくそったれの白ポールが顔をだす。何くそったれじゃん、何声色変えて、何?声優デビュウ? 仕草まで幼女ぶりやがってキショイ。
「ぶぶぼべ!」(くそったれ!)
「ヒッ!!」
 白ポールがまたミチルちゃんの影に隠れる。マジ何コイツ! スゲー腹立たしい!
「ぶぶぼべ!」(くそったれ!)
「ヒッ!! こわい!! こわいよ~~~え~~~~~ん、ひく、え~~~~~ん」
「マウス、この子、貴方のさっきの這いずり見て恐怖のあまり幼児退行してしまったみたいなの。あんまり虐めないでね」
 へーあの腹黒こんなにカワイ子ちゃんになったんだ、いや子供には罪はないよね、可愛い可愛い、可愛過ぎてもー、ちらっ。
「ヒッ!! なに!? あしのあいだにへび!!」
 ピクッ。
「うごいた!! うごいた!!」
 ズルッ。
「な!! だっぴ!? とちゅうまでだっぴ!!」
「おやめなさいマウス、貴方本当にこれ以上は法に触れるわ。いやもう完全に法に触れてるわ。非実在だってダメなのよ」
「べばばばべべ! べばば!」(メタはやめて! メタは!)
「こわい!! よだれ!! へびさんうごいてる!! たべられちゃう!! へびさんに!!」
「だべっばばじょー!!」(食べっちゃうぞー!!)
「せんてひっしょう!!」
 へ?
 幼女くそったれが今まで見た事もないほど放電させた足をおれに叩きつける。凄い電量、もう痛いとか熱いとかじゃない、何かがおれの体の中で暴れまわりなんか気持ちい感じ。放電プレイ?放置プレイの次は放電プレイ?
「やめなさい『ブレイン』死んでしまうわ!」
「は! 満様! は! わたくしは何を? あー!! マスターが焦げてる!! 凄いケシズミみたいになってる!!」
「しかたないわね。とりあえず生きてるみたいだし、お風呂にでも入れましょうか? このままじゃ真っ黒だし」
「そうですね、その方が良いと思われます。だって、ほら、」
「そうね、これはそのようね」
「電撃のショックでしょうか?」
「昨日の今日でゆるゆるだったのよ」
「これお漏らししてますね」
「そんな可愛いものじゃないわ」
「脱糞よ」



BRAIN’s Turn End
Next Turn MITSUKI



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※本作はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

ファンダ・メンダ・マウス2 (このライトノベルがすごい!文庫)ファンダ・メンダ・マウス2 (このライトノベルがすごい!文庫)
著者:大間 九郎
販売元:宝島社
(2011-03-10)


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