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『さあレースが始まるぜ! 『キング・オブ・デッドラン』が決まる瞬間だ! スタートラインに全四選手が並んだ!
第一コース! コーン・ヘッド!!!!! ダッドサン・グッドマン!!!!!
尖がった頭頂部、変形した頭蓋骨の中に二段の脳を持ち、相互否定型ディベートを永遠と繰り返す生まれながらの鬱系哲学者! 腰仙部にはアクチュエーターとマニュピレーターとしての機能に特化した第三の脳までついているオートマチズムの体現者!
二つの脳はどんな鬱系ディベートを繰り広げているのだろうか! 走る前に自殺するんじゃねーぞコーンヘッド!
第二コース! ケーブル・ガイ!!!!!! コミック・ロドリゲス!!!!!
脳から頭蓋骨突き抜けて出る無数の極太神経線維を体表に這わせ筋肉に直結! 脊髄反射を無視し完全なる人体マニュアル操作を実現したリミッターカッター! 神経の命令伝達速度を人間の七十倍の速度にまで高めた怪物!
震えてます震えてます! あまりの脳神経糖質消費量にプロテクターの中にブドウ糖液が仕込まれていつでも補充できるようになっているスウィートガイだ! 瞬発力はピカイチ! 今日もロケットスタート決めてくれよマイヒーロー!
第三コース! サイレント・タン!!!!! レディオスターゴースト!!!!!
特徴がまるでないレース運びだが、なぜかいつも上位入賞、ついた名前はゴースト!
今年度ナンバーワンルーキー!
もうクラウチングの姿勢に入ってんじゃねーぞルーキー! 観客席に手でも振れよルーキー! 面白くないレースするうえにサービス精神まったくナシ! コケるなよルーキー! 今日ぐらいはしゃげよルーキー!
第四のコース! みんなお待ちかね! 復活の貴公子! みんなのアイドル! 今夜の主役はお前で決まりだ!
二年前の痛ましい事故から完全復活! 盲目であり音で全てを判断するその鼓膜は潜水艦のソナーより正確で、空気の流れから関節の摩耗音まで捕える驚異の盗聴男!
ダンサー・イン・ザ・ダーク!!!!!! I・J・フェリオ!!!!!』
ダッドサン・グッドマンはクラウチングの姿勢に入り視線を感じた。
(^○^)ダッド 見られておるな。
*'ω')グッド 見られてるでござる。
(^○^)ダッド 左であるな。
*'ω')グッド 左でござる。
ダッドとグッド。二つの脳を持つダッドサン・グッドマンは互いをイマジネーション・コンパニオンのような存在と認識する二つの人格が存在する。対話をすることにより、より良い意思決定を行う二人とは別に、オートマティズムに運動制御を行う第三の脳オートが骨盤内に存在し、体の運動指揮を上位の判断介在、つまりダッドとグッドの命令を四パーセント以下に抑え、スムーズな運動運営を担当している。オートは体担当なのでいつもダッドとグッドは無視している。
(^○^)ダッド サイレント・タンが見ておるな、興奮と敵愾の視線であろうか?
*'ω')グッド 興奮と敵愾の視線? そうでござるか? あの目、思慮深き目、何を考えているのでござろうか? 本当に興奮と敵愾の視線でござろうか?
(^○^)ダッド 話そうではないかグッド。
*'ω')グッド 話すでござるダッド。
(^○^)ダッド 視線を始めに感じたのはクラウチングスタートの体勢に入る寸前であったな。
*'ω')グッド 入る寸前でござったが、気がつかなかっただけでもっと前から視線を送っていたのかもしれぬでござる。
(^○^)ダッド ではどこから。
*'ω')グッド それを判断することはできないでござる。気がついた時から前はどのような状態であったか、目視していない限り全ては憶測でござる。
(^○^)ダッド なるほど、憶測では恐ろしい結果を生むからな。
*'ω')グッド 憶測で構築された回答は信憑性をもてないでござる。
(^○^)ダッド で、あるな。
*'ω')グッド で、ござる。
(^○^)ダッド ならばいつからの話は止めよう。なぜ見ているのであろうか?
*'ω')グッド 視線の意味でござるな。
(^○^)ダッド そうだ、余は視線の意味に興奮と敵愾を見た。
*'ω')グッド 拙者は視線の意味にそれ以外の答えを欲したでござる。
ダッドサン・グッドマンは脳内で視線の意味を模索しながらレディオスタを見ていた。レディオスタも視線を外さず、ダッドサン・グッドマンを見続けていた。
(^○^)ダッド ならば視線の意味は?
*'ω')グッド 決意の目とみたでござる。
(^○^)ダッド 決意を余に示す意味は。
*'ω')グッド 拙者、決意の、
グッドが高説垂れている途中でレーススタートのホーンが鳴った。
体の調子はいいんじゃねーのしかし、体調絶好調じゃねーのしかし、吠え出しちゃいそうだぜ、長趾伸筋が調子悪りー、つまんねーの出た! はい! どん! 筋肉の動きの屈曲と伸展で緊張と弛緩だ、縮むほうが緊張で伸びるほうが弛緩で、曲がるほうが屈曲で伸びるほうが伸展で、そこが基本でそれ以外に応用として、回旋や滑り、等尺性収縮などがあるがそりゃ雰囲気だ雰囲気、全ての筋のマニュアル操作にゃコツがいるんだよ筋を動かすのに骨がいる、いや最悪なの出た! はい! どん! コツってつまりファジーだよ、レディーじゃなくてファジーな、レディーファーストじゃなくてファジーファーストな、必要なのはノリと思いっ切りないい加減をする勇気なんだよ。はいクラウチングの態勢に入りました。それじゃ決めますかロケットスタート、いつも思うんだけど隣のコーン・ヘッドの頭、こいつのスタートのほうがロケットスタートじゃね? 形状的に、尖がってるじゃん、完全に空飛ぶフォルムじゃん。下肢の神経系が緊張で糖質消費が早えーな畜生、畜生、楽勝、俺凍傷、そりゃ極寒か! よし! テンポ的に言ってみたけどこれ最悪! はい! どん! これ作曲家のハイドンとかかってるんだけど誰か気がついてっかな? 気がついてるっはずねーか、口に出して言ったことねーし、俺、スゲー口下手で、友達なんか一人もいねーし……俺悲しクラメン! なんだよこれ! 死ねよ俺! はい!
どん! と心の中でコミック・ロドリゲスが叫ぶと同時にスタートのホーンが鳴った。
スタートのホーンにいち早く反応したのはコミック・ロドリゲス、頭一つ他の三人より体を前にめり込ませる。初速と継続、最大の初速を最大筋力で継続する。火が噴くようなロケットスタートを開始したコミック・ロドリゲスに強い抵抗がかかった。左右から体を挟まれたのだ、片方からなら弾くことも逸らすこともできるが、左右から同時に、強い圧力とインパクトにロドリゲスのロケットスタートは相殺され、火を噴くように加速は完全に消失した。ダンプだ、スタートを切った瞬間、レデイオスタゴーストとダッドサン・グッドマンに左右から、同時に、コミック・ロドリゲスはダンプされたのだった。
(^○^)ダッド *'ω')グッド 視線の意味はこれであったか(ござったか)!
(^○^)ダッド 体が勝手に反応してしまったではないか! どうなっておるオート!
*'ω')グッド 視線の意味を行動によって知る、なかなか味なものでござるな。
(^○^)ダッド オートが反応してくれて結果オウライであるな。
*'ω')グッド オウライでござるな。
ちょっWWWWWWWWW何これ挟まれっちてんだけどWWWWWWW! 挟まれてサンドウィッチなんですけどWWWWWWWWW! 挟まれてんだけあってハムサンド! 俺死にマインド! はい! どん! ってそんなこと言ってる場合じゃねーよ! イテー! イテー!神経直に圧迫されてイテーてんだよ! 離せよ! 離せってんだテンダラー! 十ドル! はい! どん!
コミック・ロドリゲスは左右からの圧力に屈するように後退する。ロドリゲスの前にはダッドサン・グッドマン後方にはレディオスタゴースト、挟まれる形の陣形で窮屈なレース展開になった。そして三人を先行するのは貴公子I・J・フィリオ。
これはまずいレース展開になったとフィリオは感じていた。先行逃げ切り、それもデッドラン最強の先行逃げ切りランナー、コミック・ロドリゲスの後ろを誰がとるか、序盤はその攻防が続くものと思っていた。そのために、コミック・ロドリゲスの後ろをとるために全力でスタートダッシュを決めた自分が先頭になってしまった。フィリオは自分のことを理解している。自分の体力も、自分の実力も、自分の特性も十分理解しているし、理解しているからこそ今この舞台に立っているのだと信じている。先行逃げ切りでは勝てない。自分の足と体力ではこのまま先頭を走り続けると風圧と、ペースで最後まで持たない。ペースを下げるしかない。後ろからの突き上げは体力と精神の消耗が早いが、このままのペースで走り続けるよりはマシだ。できれば第一障害までに誰かに抜いてもらい、仕切り直したい。そのために右サイドにスペースを開け、ペースを落とす。今できる最善の策をとろう。頂点はこのレースで決まるのだ。ミスは挽回し、最後に一番にゴールを駆け抜ければいいのだ。立て直す。レースは始まったばかりで、栄光は目の前なのだから。
(^○^)ダッド 右側を開けておるな。
*'ω')グッド 誘い込むつもりでござろうな。
(^○^)ダッド 誘い受けであるな。
*'ω')グッド 誘い受けでござろうな。
(^○^)ダッド いやあの顔、誘い攻めであるな。
*'ω')グッド あの顔、受けではなく攻めでござろうな。
(^○^)ダッド 罠であるな。
*'ω')グッド 罠でござろうな。
(^○^)ダッド 掘られてやるわけにはいかんな。
*'ω')グッド 掘られる気は毛頭ござらんな。
ダッドサン・グッドマンがI・J・フィリオの開けた右側のスペースに体を滑り込ませた。
(^○^)ダッド *'ω')グッド オートが錯乱して掘られに行った!
ダッドサン・グッドマンの体が軌道を変えて低く、左肩でI・J・フィリオの右脇腹を抉る。尖った頭で右手の振りを抑え込み左側に押しやっていく。耐えるI・J・フィリオの左肩のプロテクタがコースの壁に擦れ、チリチリ火花を上げる。
(^○^)ダッド *'ω')グッド オートが逆に掘りに行った!
(^○^)ダッド 誘い攻め返しでのオラオラ攻めであったか!
*'ω')グッド 攻められる前に刺す! 貞操は易々捧げられないでござるよ!
接触して速度が落ちている二人の右側に空いたスペースにコミック・ロドリゲスが躍り出る。
ひーはー! 前のスペース空いたからいただけたぜひーはー! 前から来る風圧ウマ! きもちい! これを待ってたぜひーはー! 俺のためのスペース! 略して俺スペ! 俺スペだけに〝スペてを掛けて取りに行くぜ!〟切腹は俺だ! 介錯は君だ! 死ねよ俺! はい! どん!
空きスペースに躍り出て先頭に立とうとしたコミック・ロドリゲスは目の前に聳える三メートルの鉄の壁、第一障害のハードルの存在を失念していた。
ヤバ!
急激に失速し跳躍に備えるコミック・ロドリゲスを後ろからレディオスタゴーストが執拗にせっつく。振る手の先がロドリゲスの背中に当たり、出すつま先がロドリゲスの踵に当たり、完全にコミック・ロドリゲスは動きを制限されていた。
クソが! ひーはー!
コミック・ロドリゲスの強引な跳躍と同時にI・J・フィリオの脇腹を抉り続けていたダッドマン・グッドサンが肩をフィリオの脇腹から放し跳躍する。解放されたI・J・フィリオも不十分な姿勢から跳躍する。レディオスタゴーストはダッドサン・グッドマンの背中に張り付くように、風圧をオールキャンセルしながらハードルを飛び越えていく。
I・J・フィリオは焦燥感の中にいた。
最悪の結果だ、無理な体勢からの跳躍により池の中、それも残り四メートルを残し着地してしまった。腰まである水、体を前に進めるのも困難なほど粘度が高い水の中四メートルも進まなければいけなくなった。目の前には選手が三人、それぞれ池を飛び越え濡れずに着地し、走り出している。完全にレースの主導権を失った。だがレース始まったばかりだ、ミスは早い内に済ませたほうがダメージは少ない。立て直すんだ、まだレースは始まったばかりで、栄光は目の前にあるのだから。
トップに立ったぜひゃっほーい! 走るぜ走るぜ走るぜ! 体軽すぎだぜひゃっほーい! まだまだ加速するぜするぜするぜ! 俺このレースで勝ったら結婚するんだ! 何この死亡フラグ? 結婚て俺恋人どころか友達すらいねーじゃん! 女の人と喋ったの今年に入って一度もねーじゃん! もう十二月じゃん! ロンリークリスマスじゃん! 十二月、彼女欲しいと言う始末。 誰か殺してくれよ! あ! 殺してくれる友人どころか知り合いなんていねーんだった! 今年猫としかまともにしゃべってねーよ! ねーにゃん! はい! どん!
(^○^)ダッド 見られておるな。
*'ω')グッド 見られているでござる。
(^○^)ダッド またであるな。
*'ω')グッド またでござる。
(^○^)ダッド 本当に困るであるな。I・J・フィリオは突き放した。ここから先、身体能力でコミック・ロドリゲスを仕留めれば優勝は余の物であるのにな。
*'ω')グッド あとはフル加速で追うだけでござる。コミック・ロドリゲスの後をキープしゴール寸前で刺すだけでござる。
(^○^)ダッド ただロドリゲスの後方はレディオスタゴーストがキープであるな。
*'ω')グッド どのようにあそこをを奪えばいいかでござるな。
第二障害、四十五度の上り坂二十メートル、その後に蜘蛛の巣状に貼られたチェーンを駆け下りる下り二十メートルが見える。
(^○^)ダッド ここは傍観であるな。ここを抜けたら一気にスパートが上策であるな。
*'ω')グッド 傍観でござるな。ここを抜けたらあと障害は一つ。そこで仕掛けるでござる。
ロドリゲスが加速し、上り坂に入る寸前レディオスタとグッドマンが左右からダンプで挟み込む。
(^○^)ダッド *'ω')グッド オートここで仕掛けちゃう!?
加速を失ったコミック・ロドリゲスは、それでも筋力を最大出力にして壁のような坂を駆け上がる。レディオスタゴーストがコミックロ・ドリゲスを追い抜き、滑るように坂を駆け上がる。
またハムサンドかよ! 俺はハムかよ! テヘ、ハムサンドってネタまだ覚えててくれたかな? 覚えててくれたらうれしいな、って誰にも話してないネタ俺しか覚えてられないし、口にしたった時点で覚えてたんだけどよ! 気がついてたけど言わなかっただけだよ! 死ねよ! 俺の中の負のエネルギー俺を貫いて俺を殺せよ! 疼く~、右目が疼く~、覚醒しろと、前世の復讐を成就しろと、勇者テストステロンの末裔を皆殺しにしろと疼く~、って疼かねーよ! 勝手に新設定入れてんじゃねーよ! 入れた奴死ねよ! 入れたの俺だから俺が死ねよ! 死ねよ死ねよも好きの内、つまりなんだ? 俺は俺が好きなのか? ホモか? でもオナニーって男の体弄んで絶頂に達するわけだから俺は潜在的にホモなのか!? こえーよ! 死ぬしかねーよ! はい! どん!
(^○^)ダッド まぁ思わずレディオスタの後ろにベタ付きしてしまったわけであるな。
*'ω')グッド 最後の追い込みが本分であるからトップにベタ付くのは本能のようなものでござろう。
(^○^)ダッド しかし後ろからの突き上げがスゴイであるな。
*'ω')グッド ロドリゲスがイノシシのように体をぶつけてくるでござる。
(^○^)ダッド 耐え時であるな。
*'ω')グッド 耐え時でござる。
下り、蜘蛛の巣状に貼られたチェーンを走り終えたダッドサン・グッドマンが体を翻し、横に軌道をずらす。コミック・ロドリゲスがイノシシのようにレディオスタゴーストの背中に体当たりをし、弾き飛ばす。
(^○^)ダッド *'ω')グッド オート! ここで仕掛けちゃうの!
コミック・ロドリゲスは先頭に立ち加速を上げる。その後ろにダッドサン・グッドマンが張り付き、頭を低くして差すタイミングを計る。弾き飛ばされたレディオスタゴーストは体勢を立て直し、ダッドサン・グッドマンの左後方一メートルを走る。第三障害が見えてくる。高さ二,一二メートル、間隔十八,二八メートルのハードルが二十台。そこを超えると一八〇Rと一三〇Rのカーブがあり、直線千メートルでゴールだ。ダッドサン・グッドマンはハードルに合わせコミック・ロドリゲスとの間隔を開け、低く、低く、加速体勢に入る。
(^○^)ダッド ロドリゲスが飛んだハードルを余が次々飛んでいけばよいのであるな。
*'ω')グッド ハードルの幅は十八メートルほど、一つ違いならカーブと直線でべったり後ろに貼りつけるでござるよ。
(^○^)ダッド 簡単であるな。
*'ω')グッド 簡単でござる。
ダットサンが開けた三メートルほどの間隔、ロドリゲスの後方三メートルほどの空間に、レディオスタゴーストが滑り込んできた。
(^○^)ダッド *'ω')グッド 君そこ行っちゃう!
跳ぶぜ飛ぶぜトぶぜ! 跳躍を開始したコミック・ロドリゲスの後方八十センチ。ストライドも同じ、跳躍姿勢も同じ、体の動き、癖、全てをコミック・ロドリゲスにリンクさせたレディオスタゴーストがロドリゲスと同じハードルを、同じフォームで、同じストライドで、同じ呼吸で、同じタイミングで飛び越えていく。ゴーストと言うよりシャドウ、黒いマットなプロテクターは光を吸収し、真っ赤なロドリゲスのプロテクターに吸い込まれるように、影として、存在しない質量をもたない影としてハードルを次々クリアーしていく。
(^○^)ダッド *'ω')グッド ヤバいーーー!
ダッドサン・グッドマンは跳躍に集中する。ストライド・ピッチ・ストライド・ピッチただ速く走り早く飛ぶことだけに集中する。ロドリゲスとその影レディオスタが少しづつ自分を離していくのが分かる。
(^○^)ダッド *'ω')グッド ヤバいーーー!
もう今は駆け引きではなくスピード、ひたすら速く、引き離されないように走る。足を回す、蹴って、早く早く、蹴って、速く速く、ただ速く走る。
トップだぜ! 風だぜ! 向かい風を突き破って進む俺は一匹の獣だぜ! 足が燃えるように熱いぜ畜生! 死ぬほど糖分補給してんのにガス欠寸前だぜ畜生! 走るぜ!走るぜ!走るぜ畜生! 燃え尽きて灰になるまで走るぜ畜生! 愛してるぜ風! 俺と風、死が二人を分かつまでだ畜生! あれ? 俺なんか今、一生童貞フラグが立った気がする。風だけにエア嫁、なんつって! はい! どん!
コミック・ロドリゲスのペースが落ちてきている。すぐ背後、影のように追走するレディオスタゴースト。後方三メートルに肉薄するダッドサン・グットマン。そして、
「るるるるるるるるるるるるるるるるる」
特殊な呼吸法で奇声を上げなら、ヘルメット後方から銀髪を靡かせながら、ダットサン・グッドマンと並走するダンサー・インザ・ダーク、I・J・フィリオ。最後のカーブを抜け四人はゴール前直線に入った。
<ランジーン×ビザール テイクトゥ⑨(最終章) へ>
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ランジーン×コード tale.4 パラダイス・ロスト 1st
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ランジーン×コード tale.5 パラダイス・ロスト 2nd
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ランジーン×コード
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ランジーン×コード tale.3.5
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