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第4話『おジャ魔女カーニバル!!』
ある日の放課後のことだ。
入谷弦人は、いつものように五階にある軽音楽部の元部室へと向かい、扉を開けた。
「おー、ゲンちゃん。やっほー」
明らかに染めたとわかる茶髪頭に浅黒い肌をした男子生徒が一人、ベースをチューニングしている。その手首にはミサンガが巻かれている。
小松孝弘、弦人が所属するアニソンバンドのベース担当である。ちなみに孝弘が手にとっているベースは漆黒のスティングレイだ。
「珍しいな、お前が一人でこの部屋にいるなんて」
「軽音楽部の部室掃除をやるとか言い出してさー、もーメンドーだから逃げてきちった。せっかくのこのスティングレイに埃を被せたくないじゃん?」
「いや、ケースにしまっとけばいいだろ」
「ははは、これだから素人は。名器の価値ってのがわかってないなー!」
「傷だらけの中古だろうが」
「おい、中古をバカにするな。ぼくがこいつを手に入れるのにどれだけ苦労したと思ってんだよ」
「手に入れた苦労より練習の苦労を語れ。大事なのは楽器じゃなくて音だろ」
「うわぁ、出たよ。相変わらずの天才キャラ発言。楽器に愛がなくちゃ、音は奏でられないでしょうが!」
「愛よりも技術だと思うがな」
「ちっちっち、わかってねーなー、ゲンちゃんは」
「……なにが?」
半分投げやりに弦人は返事をする。
すると孝弘はひどく真面目くさった顔で言い切った。
「音楽とLOVEは切り離せないんだぜ?」
「黙れ童貞」
「いやいや、なに言ってんの。ゲンちゃんだっておなじでしょうが」
「……………」
「え、なんで黙ってんの。ねぇ、ちょっと。おい、どういうことだ。白状しろ、こら」
弦人は孝弘の追求をひたすら無視する。もうこれ以上関わるのも面倒くさくなっていた。
それに、自分の勘が正しければたぶんそろそろ来る頃合だ。
「グーテン・ターク(こんにちは)! ゲントォ、おー、タカヒロもでしたか!」
予感は的中。
豊かな金髪に瑠璃色の眼をしたドイツ人少女、エヴァ・ワグナーが扉を開けて入ってくる。つい数ヶ月前に館陽(かんよう)高校へやってきた留学生だが、話す日本語はネイティブと遜色ない。
「やっほー、エーヴァちゃーん! 相変わらず今日も元気だねー!」
「ありがとうございます、タカヒロ! ところで二人はなんの話してたんですか?」
「え? ああ、ちょっとね。音楽と愛の双曲線的関連性について議論していて……」
「いや、なに言ってんのお前」
「はー、難しそうな話をしてるんですねー。ところでゲント」
「なんだ?」
「さっき二人の話が聞こえてきたのですが、――二人はドーテーなんですか?」
弦人と孝弘は一斉に押し黙る。
するとエヴァは期待に目を光らせながら二人に迫ってきた。
「ドイツにいる知り合いに聞いたことがあります! 日本では三十歳までドーテーというものを貫くと、魔法使いになれるという都市伝説があるんですよね! ドーテーってなにかすごく気になってたんです! いったいどうしたらドーテーになれるんですか! 本当にドーテーを貫けば魔法使いになれるんですか!」
「あの……エヴァ……。童貞っていうのは、男だけに関係する言葉で……」
「つまり魔法を使えるのは男だけということですか! 日本に魔女はいないのですか!?」
弦人と孝弘はお互いに目を合わせてから、小声で話し合う。
「……どうすんの? ゲンちゃんが余計なことを言うから……」
「どうするって……そのままの意味を教えればいいだろ……。これ以上こいつが恥かかないためにも……」
「だから、それをどうやって教えるのかが問題なわけじゃん……。ドイツ語で童貞ってなんていうの?」
「知るわけないだろ……。英語ならvirginだが……」
「え、virginって処女のほうじゃないの?」
そんな二人の相談など耳に入っていないのか、エヴァだけは一人ワクワクした表情で話しだす。
「いいですよねー、魔法使い! 夢と希望に溢れた言葉ですよね! わたしも昔、魔法少女に憧れていましたから」
それを聞いた弦人と孝弘はちらっと目を合わせる。
互いに頷きあったのち、孝弘はすぐエヴァの話に乗っかった。
「うんうん、いいよねー、魔法少女。ぼくの妹もその手のアニメよく見てるからさー。ゲンちゃんも好きでしょ?」
「あ、ああ。そうだな……そ、そういえば、お前から借りたプレイヤーのなかにあったよな。オジャマだか、魔女だか……」
「『おジャ魔女カーニバル!!』ですね! おお、聴いてくれたのですか?」
「うん? もしかしておジャ魔女って、【おジャ魔女どれみ】のこと?」
孝弘の言葉に、エヴァがすぐに反応を示した。
「え、タカヒロ知ってるんですか?」
「姉ちゃんが見てたからねー。うちにビデオが揃っていてさー、いま妹も見てるよ。ときどき一緒に見てるけど、あれ、面白いよね」
「嬉しいです! まさかタカヒロが乗ってくれるとは思いませんでした!」
エヴァの意識が完全にアニソンへと向けられている。
弦人はそれを確認すると、鞄からMP3プレイヤーを取り出した。エヴァの手によってアニソンが100曲収録された、アニソン入門のための携帯音楽プレイヤーである。
「お前のことだ。どうせ聴きたいって言うんだろ?」
「さっすがゲント! 用意がいいです!」
にっとエヴァは笑ってから、さっそくスピーカーにセットする。
しばらくしてから曲の再生が始まった。
エレキギターの高らかな演奏を合図に始まる、ハイテンションなメロディ。小学生の感覚で綴られた魔法への憧れと楽しいことだらけの毎日。弾けるような感覚の日本語が、ファンキーなリズムに乗って踊りだす。
「【おジャ魔女どれみ】はひょんなことから魔女見習いとなった普通の小学生の女の子たちの姿を描いたアニメで、シリーズとしては四年間放送された人気作品なんです。残念ながらドイツでは全シリーズ放送されていないのですが、現実の問題と真剣に向き合うキャラクターの姿がとても丁寧に描かれていて本当に良い作品なんです!
そんな【おジャ魔女どれみ】シリーズのなかでも特によく知られている楽曲がこの第一期のOP、『おジャ魔女カーニバル!!』です!」
今日もエヴァの語り口は絶好調。さっきまでの話を蒸し返すことはなさそうだった。エヴァに気づかれないよう、弦人と孝弘はそっと肩をなで下ろす。
エヴァは曲に合わせて時折鼻歌を口ずさみながら、さらに話を続ける。
「この曲は単にテンションが高いだけでなく、ときにゆったり、ときに切なくと、非常に感情豊かな構成になっています。日曜の朝からこんなメロディを聴けば、心が踊ること間違いなしです! そしてなんといっても素晴らしいのはこのリズムに乗って鳴り響く日本語のセンス! 小学生の見る世界と魔法に対するワクワクが詰まったこの歌、特にどれみの唱える魔法の言葉の織り込み方が本当に素敵です! 何度も口ずさんで覚えちゃいました!」
「たしかに。いままで聴いたアニソンのなかでは一番、子供の目線に近い気がするな……」
「ちなみに『おジャ魔女カーニバル!!』の作詞を担当したオオモリ・ショーコはのちに【けいおん!】でもOPやEDの曲を担当し、大ヒットを飛ばしています。どちらも女の子の目線に立った歌詞として一級品ですから! 曲だけでなく、アニメを見ることをぜひおすすめしますよ!」
「言っても子供向けのアニメだろ? それに魔法少女ものって、高校生が見るにはさすがに抵抗が……」
「いやいや、案外バカにできないもんだよー」
孝弘がこともなげに言った。
「プリキュアシリーズとか【アンパンマン】とかさ、妹に付き合ってときどき見てるけど、なんだかんだ面白いよ? 子供向けだからこそきっちり作られてるところってあると思うんだよね。ほら、子供って余計な先入観抜きで評価するからさ。しかも飽きやすいし。昔見てたアニメとかって難しくてわかんなかったところもあったりしたけど。いま見返すと、『ああ、そういう意味だったんだ』って納得できるっていうか、再発見? みたいなことができるっていうかさ」
孝弘の言葉を、弦人は意外に思いながら聞いていた。ときどき、孝弘は変なところで鋭い。そういう男だからこそ、アニソンバンドにも抵抗なく飛び込んでこられたのかもしれない。
「タカヒロの言うとおりです」
エヴァも孝弘に同意する。
「子供の頃に聴いたアニソンって、記憶の深いところに刷り込まれます。童謡だっておなじじゃないですか。子供の頃に好きだった音楽はいつまでも自分のなかに生き続けるものです、ゲントにもそういうアニソンがあるんじゃないですか?」
エヴァの問いかけに、弦人は「……うん」と口を濁らせた。
「……まぁ、ないこともないかな」
「またまたー、そうやってすぐごまかすんだから、ゲンちゃんは!」
「……お前は本当に余計なことしか言わないな」
「ハハハ、二人は本当に仲良しですね!」
「どこがだよ」
「え、なに言ってんの? ぼくらマブダチでしょ?」
「お前、ついこないだまで俺のこと嫌ってただろうが」
「あり? そうだっけ?」
「なるほど、なるほど。これはつまりあれですね!」
エヴァは指をピッと立てて言った。
「二人が仲良くなったのも、アニソンが叶えた魔法ということですね!」
「……ちょっとその言い草は臭いんじゃないか?」
「おー、良いね、エヴァちゃん! だったらエヴァちゃんはさしずめ、アニソンの魔女ってところじゃない?」
「お前もなに言ってんの?」
一人突っ込む弦人だが、孝弘の言葉にエヴァは嬉しそうに口元をニヤニヤさせた。
「そうですか、アニソンの魔女ですか。その呼び名も、いいですね……」
「……ああ、それはわかるかもな」
弦人も、孝弘も、そしてほかのメンバーも。
このアニソンバンドのメンバー全員、エヴァの魔法にかけられてここにいるようなものだ。
アニソンの魔女。その呼び名はたしかに、エヴァにはふさわしい。
「うんうん、そうなるとゲント、タカヒロ」
「なんだ?」
首を傾げる弦人と孝宏にエヴァは笑顔で告げた。
「二人もドーテーを貫いて魔法使いになれるといいですね! わたし、応援してますから!」
アニソンの魔女の言葉に、魔法使い見習い二人はただ力なく笑うことしかできなかった。
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「音楽とLOVEは切り離せないんだぜ?」
「黙れ童貞」
「いやいや、なに言ってんの。ゲンちゃんだっておなじでしょうが」
「……………」
「え、なんで黙ってんの。ねぇ、ちょっと。おい、どういうことだ。白状しろ、こら」
弦人は孝弘の追求をひたすら無視する。もうこれ以上関わるのも面倒くさくなっていた。
それに、自分の勘が正しければたぶんそろそろ来る頃合だ。
「グーテン・ターク(こんにちは)! ゲントォ、おー、タカヒロもでしたか!」
予感は的中。
豊かな金髪に瑠璃色の眼をしたドイツ人少女、エヴァ・ワグナーが扉を開けて入ってくる。つい数ヶ月前に館陽(かんよう)高校へやってきた留学生だが、話す日本語はネイティブと遜色ない。
「やっほー、エーヴァちゃーん! 相変わらず今日も元気だねー!」
「ありがとうございます、タカヒロ! ところで二人はなんの話してたんですか?」
「え? ああ、ちょっとね。音楽と愛の双曲線的関連性について議論していて……」
「いや、なに言ってんのお前」
「はー、難しそうな話をしてるんですねー。ところでゲント」
「なんだ?」
「さっき二人の話が聞こえてきたのですが、――二人はドーテーなんですか?」
弦人と孝弘は一斉に押し黙る。
するとエヴァは期待に目を光らせながら二人に迫ってきた。
「ドイツにいる知り合いに聞いたことがあります! 日本では三十歳までドーテーというものを貫くと、魔法使いになれるという都市伝説があるんですよね! ドーテーってなにかすごく気になってたんです! いったいどうしたらドーテーになれるんですか! 本当にドーテーを貫けば魔法使いになれるんですか!」
「あの……エヴァ……。童貞っていうのは、男だけに関係する言葉で……」
「つまり魔法を使えるのは男だけということですか! 日本に魔女はいないのですか!?」
弦人と孝弘はお互いに目を合わせてから、小声で話し合う。
「……どうすんの? ゲンちゃんが余計なことを言うから……」
「どうするって……そのままの意味を教えればいいだろ……。これ以上こいつが恥かかないためにも……」
「だから、それをどうやって教えるのかが問題なわけじゃん……。ドイツ語で童貞ってなんていうの?」
「知るわけないだろ……。英語ならvirginだが……」
「え、virginって処女のほうじゃないの?」
そんな二人の相談など耳に入っていないのか、エヴァだけは一人ワクワクした表情で話しだす。
「いいですよねー、魔法使い! 夢と希望に溢れた言葉ですよね! わたしも昔、魔法少女に憧れていましたから」
それを聞いた弦人と孝弘はちらっと目を合わせる。
互いに頷きあったのち、孝弘はすぐエヴァの話に乗っかった。
「うんうん、いいよねー、魔法少女。ぼくの妹もその手のアニメよく見てるからさー。ゲンちゃんも好きでしょ?」
「あ、ああ。そうだな……そ、そういえば、お前から借りたプレイヤーのなかにあったよな。オジャマだか、魔女だか……」
「『おジャ魔女カーニバル!!』ですね! おお、聴いてくれたのですか?」
「うん? もしかしておジャ魔女って、【おジャ魔女どれみ】のこと?」
孝弘の言葉に、エヴァがすぐに反応を示した。
「え、タカヒロ知ってるんですか?」
「姉ちゃんが見てたからねー。うちにビデオが揃っていてさー、いま妹も見てるよ。ときどき一緒に見てるけど、あれ、面白いよね」
「嬉しいです! まさかタカヒロが乗ってくれるとは思いませんでした!」
エヴァの意識が完全にアニソンへと向けられている。
弦人はそれを確認すると、鞄からMP3プレイヤーを取り出した。エヴァの手によってアニソンが100曲収録された、アニソン入門のための携帯音楽プレイヤーである。
「お前のことだ。どうせ聴きたいって言うんだろ?」
「さっすがゲント! 用意がいいです!」
にっとエヴァは笑ってから、さっそくスピーカーにセットする。
しばらくしてから曲の再生が始まった。
エレキギターの高らかな演奏を合図に始まる、ハイテンションなメロディ。小学生の感覚で綴られた魔法への憧れと楽しいことだらけの毎日。弾けるような感覚の日本語が、ファンキーなリズムに乗って踊りだす。
「【おジャ魔女どれみ】はひょんなことから魔女見習いとなった普通の小学生の女の子たちの姿を描いたアニメで、シリーズとしては四年間放送された人気作品なんです。残念ながらドイツでは全シリーズ放送されていないのですが、現実の問題と真剣に向き合うキャラクターの姿がとても丁寧に描かれていて本当に良い作品なんです!
そんな【おジャ魔女どれみ】シリーズのなかでも特によく知られている楽曲がこの第一期のOP、『おジャ魔女カーニバル!!』です!」
今日もエヴァの語り口は絶好調。さっきまでの話を蒸し返すことはなさそうだった。エヴァに気づかれないよう、弦人と孝弘はそっと肩をなで下ろす。
エヴァは曲に合わせて時折鼻歌を口ずさみながら、さらに話を続ける。
「この曲は単にテンションが高いだけでなく、ときにゆったり、ときに切なくと、非常に感情豊かな構成になっています。日曜の朝からこんなメロディを聴けば、心が踊ること間違いなしです! そしてなんといっても素晴らしいのはこのリズムに乗って鳴り響く日本語のセンス! 小学生の見る世界と魔法に対するワクワクが詰まったこの歌、特にどれみの唱える魔法の言葉の織り込み方が本当に素敵です! 何度も口ずさんで覚えちゃいました!」
「たしかに。いままで聴いたアニソンのなかでは一番、子供の目線に近い気がするな……」
「ちなみに『おジャ魔女カーニバル!!』の作詞を担当したオオモリ・ショーコはのちに【けいおん!】でもOPやEDの曲を担当し、大ヒットを飛ばしています。どちらも女の子の目線に立った歌詞として一級品ですから! 曲だけでなく、アニメを見ることをぜひおすすめしますよ!」
「言っても子供向けのアニメだろ? それに魔法少女ものって、高校生が見るにはさすがに抵抗が……」
「いやいや、案外バカにできないもんだよー」
孝弘がこともなげに言った。
「プリキュアシリーズとか【アンパンマン】とかさ、妹に付き合ってときどき見てるけど、なんだかんだ面白いよ? 子供向けだからこそきっちり作られてるところってあると思うんだよね。ほら、子供って余計な先入観抜きで評価するからさ。しかも飽きやすいし。昔見てたアニメとかって難しくてわかんなかったところもあったりしたけど。いま見返すと、『ああ、そういう意味だったんだ』って納得できるっていうか、再発見? みたいなことができるっていうかさ」
孝弘の言葉を、弦人は意外に思いながら聞いていた。ときどき、孝弘は変なところで鋭い。そういう男だからこそ、アニソンバンドにも抵抗なく飛び込んでこられたのかもしれない。
「タカヒロの言うとおりです」
エヴァも孝弘に同意する。
「子供の頃に聴いたアニソンって、記憶の深いところに刷り込まれます。童謡だっておなじじゃないですか。子供の頃に好きだった音楽はいつまでも自分のなかに生き続けるものです、ゲントにもそういうアニソンがあるんじゃないですか?」
エヴァの問いかけに、弦人は「……うん」と口を濁らせた。
「……まぁ、ないこともないかな」
「またまたー、そうやってすぐごまかすんだから、ゲンちゃんは!」
「……お前は本当に余計なことしか言わないな」
「ハハハ、二人は本当に仲良しですね!」
「どこがだよ」
「え、なに言ってんの? ぼくらマブダチでしょ?」
「お前、ついこないだまで俺のこと嫌ってただろうが」
「あり? そうだっけ?」
「なるほど、なるほど。これはつまりあれですね!」
エヴァは指をピッと立てて言った。
「二人が仲良くなったのも、アニソンが叶えた魔法ということですね!」
「……ちょっとその言い草は臭いんじゃないか?」
「おー、良いね、エヴァちゃん! だったらエヴァちゃんはさしずめ、アニソンの魔女ってところじゃない?」
「お前もなに言ってんの?」
一人突っ込む弦人だが、孝弘の言葉にエヴァは嬉しそうに口元をニヤニヤさせた。
「そうですか、アニソンの魔女ですか。その呼び名も、いいですね……」
「……ああ、それはわかるかもな」
弦人も、孝弘も、そしてほかのメンバーも。
このアニソンバンドのメンバー全員、エヴァの魔法にかけられてここにいるようなものだ。
アニソンの魔女。その呼び名はたしかに、エヴァにはふさわしい。
「うんうん、そうなるとゲント、タカヒロ」
「なんだ?」
首を傾げる弦人と孝宏にエヴァは笑顔で告げた。
「二人もドーテーを貫いて魔法使いになれるといいですね! わたし、応援してますから!」
アニソンの魔女の言葉に、魔法使い見習い二人はただ力なく笑うことしかできなかった。
■楽曲データ
『おジャ魔女カーニバル!!』 歌:MAHO堂(春風どれみ(千葉千恵巳)、藤原はづき(秋谷智子)、妹尾あいこ(松岡由貴))
作詞:大森祥子 作曲:池毅 編曲:坂本昌之 【おジャ魔女どれみ】OP
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