crack
■後篇~ハッキングって、どうやるの?~


◆本作のあらすじおよびキャラ紹介はこちら

varuヴァル:えーっと、具体的にどうやって魔術侵入(ハッキング)をやるのか、だけど。 これも簡単に言えば、「魔術処理された石板である端末板(タブレット)から、使い魔(ファミリア)である星霊獣(アストラル・ファミリア)を放ち、グラムラインを通じてターゲットに侵入する」って感じだ。


erefoa
エーレフォーア:
最近は、みんな端末板(タブレット)を持ってますわねー。



varu
ヴァル:
他人の端末板(タブレット)と通信する機能があるし、魔術補助にも使えるからね。外法術師(ハッカー)も、たいてい、端末板(タブレット)に星霊獣を構築して、そこからグラムラインに飛ばしてる。


erefoa
エーレフォーア:
ヴァルの星霊獣って、確か狼でしたわよね?



varu
ヴァル:
ああ。《フレキ》のことだね。




erefoa
エーレフォーア:
ん? あれ、確かヴァルの通り名(ハンドル・ネーム)も《フレキ》では?
varu
ヴァル:
普通、星霊獣の名前は通り名と同じなんだよ。星霊獣は、自我も実体もない、魔術式そのものだからね。自分の分身みたいなもんなんだ。


erefoa
エーレフォーア:
ふんふん。で、その分身を、魔術器具や魔術領域に送り込んで、情報を奪取してくると。


varu
ヴァル:
とはいえ、相手もおいそれと侵入されちゃ困るってもんだ。だから、たいていの魔術器具や魔術領域には、防魔壁(ファイアウォール)ってのがあってね。認可を受けていない者のアクセスを防いでいる。その突破が、外法術師(ハッカー)の腕の見せどころってわけだ。

erefoa
エーレフォーア:
壁、ねえ……。それを突破するってことは、殴って壊す感じですかしら?



varu
ヴァル:
君といっしょにすんな。防魔壁は、魔文字(ルーン)の連なりによる暗号構造になっている。それを読み取り、暗号を読解して、魔文字を書き換えることによって、「入ってもいいよ」って言わせるのが、外法術(ハッキング)の基本だ。

erefoa
エーレフォーア:
(゜◆ ゜)



varu
ヴァル:
なんだそのカオ。



erefoa
エーレフォーア:
メンドくさそう~。無理~。



varu
ヴァル:
速攻で諦めたね……。まあ確かに、そんなことができるのは、魔術を専門的に修めた魔術師(ウィザード)でも、一部なんだけど。


erefoa
エーレフォーア:
魔術師なら誰でもできるってわけじゃないんですのね。



varuヴァル:魔術理論に精通し、あらゆる魔文字の意味や象徴を知悉した上で、確固たる集中力を以って挑まなきゃいけないからね。改竄に失敗すれば、防魔壁に仕込まれた魔術式が反応して逆探知(カウンターハック)される。捕まったら、よくて牢屋行きだし、罪状次第じゃ縛り首だ。そのリスクを負っての侵入、それ自体に耐える精神力も必須になる。そうした条件を満たしていても、力量が足りなけりゃおしまいだ。相手企業が強大であればあるほど、防魔壁は精巧になるし、雇われ対抗外法魔術師(カウンターハッカー)も強力な星霊獣で攻撃してくるからね。

erefoa
エーレフォーア:
リターンが大きい分、リスクもすごいってことですのね。



varuヴァル:
まあね。ただ、「リスクがすごい」ってのは、それ自体が、人によっちゃあ魅力的な話でね……反骨精神あふれる向こう見ずな若者なんかは、「ハイリスクな犯罪行為に挑むカッコよさ」に憧れて魔術侵入(ハッキング)に走ったりする。だから、外法術師(ハッカー)は最近、増加傾向にあるし、実力不足でとっ捕まる奴がやたらと出てきてるんだ。

erefoa
エーレフォーア:
ふむふむ。



varuヴァル:
さて、では実際の魔術侵入(ハッキング)におけるセオリーについて話していこう。ここからが外法術(ハッキング)の本題とも言える部分で、星霊獣を構成する魔術式の合計容量が星霊獣の基本速度にもたらす影響や、使用する端末板(タブレット)の種類と魔術系統の関連、都市の魔術相(アスペクト)に応じた魔文字(ルーン)とグラムコネクターの選び方――

erefoa
エーレフォーア:
あ、概要はわかったからもういいですわ。ごはんにしましょう。



varu
ヴァル:
おい。



erefoa
エーレフォーア:
ごはんにしましょう。ごはんごはん。保冷庫、がちゃー。



varu
ヴァル:
おい!!



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