『絶名(ぜつめい)のドラクロア』

著:大間九郎/イラスト:十五日


「こっ、この世の中に、

乙女の生き血以上の美味

があるなんて!」  
 
「……お前さ、人間じゃないよね?」


カバー

ワーウルフ、魔道士、吸血鬼、そして普通の少年・向井竜童と奇妙な美少女  
世界の命運“絶門解錠”を巡る攻防が、今!はじまる!! 
 
平凡な日常、上手くいかない日常に飽きていた向井竜童は、
奇妙な美少女と出会い、唐突に非日常にブチ込まれる! 
――明かされる世界の真実の姿、迫られる究極の選択
――美少女の命か、世界の命運か。
すべての事から逃げ続けていた竜童の選択とは? 
美少女の秘密とは? 
スピード感溢れる展開、炸裂するジョーク&バトル。
大間九郎が放つ、ボーイ・ミーツ・ガール。疾走するニューヒーロー、ここに誕生! 


ここでは、9月10日の発売に先駆け、主要キャラクターを紹介します!

「〝絶名〟は、トレーラーに積み終わりました。いつでも出発できます」
部下の声にイートルは頷き、少し離れたところにいる自分の飼い主、テリオン・アルカディアにハンドサインを送る。
横浜港D突堤。ダークスーツの男たちが十数人、トレーラーを囲み、警護している。
イートルはコンテナを見て、奥歯を噛む。
溢れ出る魔力、近くにいるだけで吐きそうだ。
今宵は満月で、自分の魔力耐性も格段に高いはずなのに。
「化け物め」
イートルは吐き捨てるように呟く。
1-11 

向井竜童
(むかい・りゅうどう)
向井竜童
「ヤバい。取り憑かれた」

 十七歳。両親はシンガポール在住、妹は学校の寮に入っているため、現在一人暮らし中。
 警備員のバイトをしている十七歳。大概の事から「めんどくさい」と逃げ続けていた――が、謎の美少女と出会い、とんでもないことに!





「糞猫! それがなんだか知っているのか!」
足を止め、しゃがみこみ、イートルに鼻先はつくほど顔を近づけ、悪戯な笑みを浮かべるスカリーヌ。
「〝絶名〟だにゃ。〝真祖〟を超える最強の『ナイトウォーカー』! 人ならざる者たちですら〝真名〟を呼び、〝名による呪縛〟を解くことを恐れるキングオブキングス! 終末の具現化! 破滅の体現者! 焼き尽くすロースター! 殺し尽くすジェノサイダー! 禁忌! タブー! アンタッチャブル!
おかしいにゃ~? 魔族・吸血鬼・ワーウルフの三属盟約により、アヴァロンから持ち出し不可の怪物が、にゃんでここ横浜にいるのかにゃ~?」
3-22







 
???
ヅラクロア 掲載
「こんなに興奮したのはオスマン帝国の貴族を串刺し処刑にした時以来です!」

 竜童が出会った謎の美少女。“名による呪縛”がされているため、竜童からは「死体」、スカリーヌたちからは〝絶名〟と呼ばれる。
 新雪のように白く新雪のように柔らかい白髪。肌、赤い瞳。黒のクラシックドレス。
 表情がコロコロ変わり、明るく従順(だが人間関係は、ご主人様と下僕のみ、という極端さ)



「お前さ、」
「はい!」
 死体はなぜか、笑顔で元気よく俺の質問の続きを待ってる。
「人間じゃないよね?」
「えっ、な、なんでですか?」
 眉を八の字にして、目じりを下げすごいショボン顔になり、おろおろし始める死体。
「いや、真っ白だし、目、真っ赤だし、」
「でっ、でも! そんなこともあるかもしれないじゃないですか! 人を見た目で判断するのとか! 私! いけないことだと思います!」
「いや、でも、血がブバッと出てさ」
「あっ、あれは病気です! 持病です!」
「いや、今、手のひらから血を吸ってたよね。あんな吸いかた、普通人間できないから」
「とっ! 特技です!」
2-22 


スカリーヌ
スカリーヌ「今宵もにゃーにジャックポットを!
 いでよ〝スピルバーグ!〟
〝絶名〟! おとなしく縛につくにゃ!」

『ワルキューレの騎行』&オレンジ色の煙幕と共に登場する魔道ネコ娘。自己選択放棄型『運命式』魔力増強魔法〝スピルバーグ!〟を操り、6種の魔法を繰り出す。 魔道士協会『大きな山』から〝絶名〟奪回を命じられるが、目先の欲望にコロリと寝返るダメな人。



「向井竜童です。十七歳の高校二年生です」
「へーりゅうどうさんかー、名前にどんな意味があるんですかー?」
「うん、竜はドラゴン、童は子どもって意味。つまり竜童って名前は『ドラゴンの子ども』って意味だよ。俺の親父名古屋生まれで、生粋のドラキチだから」
「うっ、運命を感じます!」
ん? 何に?
「私たちは、出会う運命だったんです!」 
ん? なんで?
「うっー、うっー、うわぁぁぁん!」
死体がいきなり泣き出した。
俺の手をミシミシ握りしめたまま、ギャンギャン泣く死体。
「私! 生きてて! よかったです! うわぁぁぁぁん!」
なんだこれ? 
「もう! 一生! 放さないです! うわぁぁぁぁん!」
いきなり飛びつき抱きしめてくる死体。痛い、肋骨がミシミシいってる。死にそう。俺は両手のひらで死体の顔を押し、引き剥がそうとするがそこは人外、全くビクとも動かない。「コポッ」、はい、胃液さんこんにちは。そりゃそれぐらい出るわな。スゲー力だもん。
「どりあえずっ! はなぜー!」 
「いやですー!」
「じんでっ! じまうー!」
「私が守りますー!」
2-11
 


轟 静
(とどろき・しずか) 

轟静「うるさいジャリども。
二人まとめてオートミールしか
食べれない顎にしてやろう」

 魔道士協会『大きな山』から派遣された魔道士で、スカリーヌの主人。
 パンツスーツ、長身で黒髪、切れ長の目。
 魔道士最高位である獣の数字(刻印)を持つ三人のうちの一人。
 


「殺したら、お前を殺す」
「殺されてもいいんですよ。べつに。私を殺したところで少年は生き返りませんし、あなたの手元には戻ってきません」
「殺される前に殺す」
「それは無理でしょう。あなたが私を殺した瞬間、部下が少年を殺します。タイムラグはありませんよ」
ヴァンパイアの足元から黒い影が広がっていく。黒い影は広い室内の床を覆いつくし、壁をせり上がっていく。
それを見て、テリオンは小さく笑みを零す。
「素晴らしい魔力量ですね。でも残念、この部屋は外と繋がっていない隔離空間ですので、いくら魔力の枝を伸ばしたところで、少年までは届きませんよ」
影は部屋の天井まで覆い尽くす。全てが漆黒の部屋の中、テリオンとヴァンパイア、二脚のイスとテーブル、皿とティーポットとワイングラス、燭台と火がついた蝋燭のみ、色を持ち、まるで浮かんでいるように見える。
「私に何をさせたい?」
5-1

 


テリオン

 テリオン
「取引しませんか〝絶名〟。
あの少年を殺さない代わりに、
私たちに協力してください」

 ワーウルフの若い実力者。
 見た目は三十代前半、スーツにメガネ、金髪 外人顔、やせ形で身長が高く生気に満ちている。〝絶名〟を復活させ、自らの野望を叶えようとしている。



カバー案2 2_提出

最高ですご主人様! 
最高ですー! 
私は人間です! 
人間になりましたー!


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絶名のドラクロア (このライトノベルがすごい! 文庫)
大間 九郎
宝島社
2013-09-10




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