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エヴァ・ワグナーのアニソン三昧!

エヴァ・ワグナーのアニソン三昧!【2】

名称未設定-1

登場人物紹介はコチラから■

第2話『COLORS』

 ある日の放課後のことだ。

 入谷弦人は、五階にある軽音楽部の元部室の扉を開けた。
「あり? 入谷が来た」
 素っ頓狂な声を出したのは、部屋に一人でいたセミロングの女子生徒だ。
勝ち気そうな瞳と、口元から覗いた可愛らしい八重歯が特徴的な彼女の名前は九条京子、弦人が所属しているアニソンバンドのドラム担当である。
「珍しいわね、アンタが用もないのにここへ来るなんて」
「そうか? わりと来ているほうだと思うが。もともとここに入り浸っていたのは俺だし」
「ははは、それもそうね。にしてもいま考えてみれば贅沢な話よね、この部屋を一人で占有するなんて」
「大人しく明け渡してやっただろ、文句を言われる筋合いはない」
「なんでアンタはいつも無駄に偉そうなの……。あ、ちょっと待って」
 京子は鳴りだした自分の携帯電話を取り出し、着信に応じる。
「ハイハーイ、沙希? うん、いま部室。どしたの? え? あー、貸してた数学の教科書ね。いいよー、明日でも。……課題がわからないから教えてくれ? アンタねー……。わかった、いまそっちに行くから。うん、うん。それじゃ」
 電話を切ると、京子は鞄を持って立ち上がる。
「つーわけだから、ちょっと出てくるわね」
「そうか。お前も大変だな……」
「まー、このポジション、アタシはけっこー気に入ってるからね。んじゃ、また」
 京子は不敵に笑って見せてから、扉を閉めて出て行った。続きを読む

エヴァ・ワグナーのアニソン三昧!【1】

名称未設定-2


第1話『残酷な天使のテーゼ』

 ある日の昼休みのことだ。

 入谷弦人はいつものように五階にある軽音楽部の元部室の扉を開けた。
「おお! グーテン・ターク(こんにちは)、ゲント! 今日は早いですね!」
 部屋にいた少女が流暢な日本語で挨拶してくる。
 黄金色の髪に、瑠璃色の瞳。そして陶磁のように滑らかで白い肌。どこからどう見ても西欧人である彼女の名前はエヴァ・ワグナーという。
 アニソンバンドを組むためにわざわざ日本へ留学してきた生粋のアニソンバカであり、弦人をアニソンバンドへと引きずり込んだ元凶でもある。どうやらいまの時間、エヴァ以外のメンバーは来ていないらしい。
「ゲント、ちょうど良いところに来てくれました!」
 きらきらと目を輝かせるエヴァを見て、弦人は嫌な予感を覚えた。
 この留学生の“ちょうど良い”が、弦人にとって“ちょうど良かった”試しがない。
「ゲントのために作ってきたものがあるんです! 受け取ってもらえませんか?」
「俺の、ために?」
「ヤー(はい)。……頑張って、作ってきたんですよ?」
 そう答えるエヴァは上目遣いをしながら恥ずかしそうに顔を俯けた。弦人はエヴァを見やりながら、ぶっきらぼうに返事した。
「……別に、いやだとは言わないが」
「本当ですか!? じつはこういうのなんですけど!」
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